会心のスライダーで勝利を決めた背番号1は、マウンド上で喜びをかみしめるようにガッツポーズした。盛岡大付の平松竜也(3年)は制球に苦しみながらも被安打2、9奪三振で投げ抜き、作新学院(栃木)の連覇を阻止。「ベストではない中で1失点はよかったと思う。気持ちで投げた」と気迫の投球だった。  九回2死満塁、長打が出れば同点の場面。フルカウントとなり、8球目に選択したのはこの日を象徴する一球。「気持ちがこもっていた。(平松なら)やれると思った」と捕手の松田夏生(3年)。136球目も切れを失わないスライダーで右飛に打ち取った。  調子は万全ではなかった。右肩負傷の再発を避けるため、直前までノースロー調整。直球に不安を抱え、変化球主体でコースに投げ分ける戦略も、9四死球とまとまりを欠いた。しかし、逆にこの荒れ球が4割近いチーム打率を残した打線にフルスイングさせず、相手の小針崇宏監督を「スライダーの見極めができなかった」と脱帽させた。  試合前は継投を考えていた関口清治監督も五、六回を三者凡退で切り抜け「流れを変えない方がいい」とエースに託すほどの力投だった。  選抜8強入りも、故障に泣き「あまり良い思い出がない」。左腕三浦瑞樹(3年)の活躍も歯がゆい思いで見届けた。その悔しさを晴らす粘投に、バックは守備範囲の広い中堅手植田拓(3年)の好捕など無失策でもり立てた。  智弁学園(奈良)を破った春は三浦瑞樹が完投。夏の「大物食い」は平松が主役となった。      (下石畑)