細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生モーニングトーク」2020年10月31日放送

【まとめ】

・日本学術会議問題、従来の議論・任命拒否の理由を明確に示すべき

・現政権は、新菅政権というより安倍・菅政権の8年目

・政府機関を権力で黙らせることは、民主主義の危機

ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」。今回のゲストは、立憲民主党・松原仁衆議院議員。日本学術会議が推薦した新会員候補6人が任命されなかった問題について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

松原氏はまず、問題に対する率直な印象を「唐突」と表現した。日本学術会議に関する政権内の従来の問題意識や議論が国民に周知されていないことを指摘し、「分かりやすい説明がないとなかなか国民の皆さんもついていけないのでは」と述べた。

細川氏は、首相による任命拒否を違法とする意見に触れ、松原氏の考えを聞いた。

松原氏は「従来の日本学術会議の在り方を考えなくてはいけない」と述べて、1983年中曽根首相の「形だけの任命」発言や、当初は首相が任命権を持たなかったことを説明した。さらに、日本学術会議法について「法的解釈は様々ある」と述べたうえで、「条文を読む限り総理大臣に拒否権があるようには見えない。拒否するに値する理由を明確に言うべき」との考えを強調した。また、「総合的・俯瞰的」という抽象的な言葉遣いは、「説明責任の放棄だ」と述べた。

次に細川氏は、菅首相が推薦者名簿を確認した時点で既に6人は除外されていたという趣旨の発言をしたことを挙げ、「誰かが政権の近くで操作したとしか思えない。安倍政権の悪い部分を引き継いでいる」と述べた。

これに対し松原氏は、「今は新菅政権というより安倍・菅政権の8年目に入ろうとしている」と述べ、現政権は安倍政権をそのまま継承しているとの考えを示した。また、日本学術会議問題に類似した事例として、安倍政権下で起きた財務省の公文書改ざん問題と佐川元国税庁長官の不起訴処分を挙げた。「森友・加計、桜を見る会、すべてつまらない問題なんだと、ある種のすり替えのようなものがあった。菅さんは新しい政権なんだからぜひとも考え直して頂きたい」と述べた。さらに、6人の除外が首相判断でないという発言は、菅首相の周辺に優秀な知恵袋がいないことの表れでもあると指摘した。

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菅首相は、日本学術会議を政府の機関として行政改革の対象とする考えを示している。松原氏は、公正取引委員会や会計検査院などの監査組織を挙げて、「独立して国家の犯罪や国家の問題点を言うというのは民主主義国家の基本的で大きなアドバンテージ。これをないがしろにするということは民主主義の危機と言わざるを得ない」と危惧した。

10月26日、第203回臨時国会が召集された。細川氏は、約4か月ぶりに国会審議が再開することをふまえて、野党が日本学術会議問題をどのように追及するか聞いた。

松原氏が目指すのは国会に「特別委員会をつくる議論」だが、設置できる特別委員会の数には限りがある、として「どうやるかは別にして、行政だけで議論しないように我々が主張していかなければいけない。菅さんも、権力で乗り切ろうという安直な発想はやめてもらいたい」と述べた。

松原氏は、透明性が失われ権力がものを言う政治に対する失望が国民の間に広がっている状況を指摘した。「与党としては政権運営が楽かもしれないが、国家の50年、60年、70年先のビジョンを考えた時に絶対にマイナスになる。未来に対しての責任感と情熱とを一人ひとりの国民が持つような、投票率が上がるような状況をつくる」そのために説明を尽くすべきと述べた。

松原氏は最後に、問題の本質を国民に伝えるためにはメディアが「社会の木鐸」の役割を果たすことが重要であると述べた。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年10月31日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分〜7時20分

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