清谷信一(軍事ジャーナリスト)

【まとめ】

・艦艇乗組員を確保するためにはクルー制は必要不可欠。

・スペック下げ人員削る「安かろう、悪かろう」の省力化は意味なし。

・調達隻数を減らしてもまともなフリゲイトを調達すべきだ。

海上自衛隊の最大の敵は中国でも北朝鮮でもない。人手不足だ。

特に勤務がきつい艦艇乗組員の確保は困難である。米国や英国でも軍隊、特に海軍の艦艇乗組員の確保は難しくなっている。だが、特に我が国は急速な少子高齢化が進んでおり、労働人口減少が顕著であり、労働力を民間企業と取り合うこととなっている。隊員が確保できなければいくら護衛艦や潜水艦を増やしても戦力とはいえない。

財務省の「歳出改革部会」(令和2年10月26日開催)の防衛省に関する資料には以下のようにある。

「自衛官の定数は、近年、約25万人とされているが、少子化の進展や、中途退職の増加により、実際の人員(現員)は約23万人で推移」と指摘、人員確保が困難になって採用年齢を26歳から32歳に引き上げた平成30年の採用対象年齢者の人口は約1,881万人だが、これが令和10年では1,750万人、令和20年では1,563万人まで減少すると予想している。

しかも自衛官は自己都合による退職者が多い。「自衛官を増員する一方、自己都合による自衛官の中途退職者は、10年間で約4割増加し、年間約5,000人。これは毎年の新規採用者の約1/3に相当する自衛官が中途退職していることとなる」「任官後早期(特に4年以内)の退職者が多く、階級別にみれば、曹士クラスが9割超。いわば採用、教育訓練のコストの掛け捨ての状態」(同上)。つまりは、モチベーションが維持できず働くに値しないと思われているのだろう。

その中でも長期の航海があり、洋上での閉鎖空間である艦艇での勤務は人気がない。海幕が2009年に発表した「海上自衛隊抜本改革の実行上の指針」では「長期にわたる航海で一般社会から離れるなどの厳しい艦艇乗員としての勤務環境と、現代の若者気質が乖離」とし、護衛艦隊部隊の充足率の向上、定員の考え方の見直し、業務の削減と効率化、女性自衛官の採用・登用の拡大、多角的な広報の推進とし、「護衛艦部隊の充足率については、平成26年度までには90%以上に回復することを目標とする」とされていた。山村浩海幕長によればこの目標は達成されたとのことだ。だが、依然状況は厳しい。

問題は職業的な環境だけではない。海上自衛隊では長年、いじめ、特に逃げ場のない艦艇内部でのいじめが横行してきた。しかもそれを組織ぐるみで隠蔽する体質まである。(※参考記事)

▲写真 海上自衛隊入隊式の様子(2019年 横須賀教育隊) 出典:海上自衛隊 facebook

筆者は昨年、河野太郎防衛大臣(当時)や山村浩幕僚長にも護衛艦乗員の充足率を質問したが、「手の内を明かすことになると」と拒否された。

充足率が9割を超えているのであれば、さほど深刻であるまい。達成後に充足率が下がったのだろうか。筆者が見聞きした範囲では護衛艦の充足率は9割を超えているようには思えない。8割にすら達していないように思える。実際に海賊対処などに派遣される護衛艦は乗員を掻き集めて送り出していると聞いている。

その他の補助艦艇などでは充足率は更に低い。護衛艦には本来定員上は医官が乗り組んでいることになっているが、医官の搭乗している護衛艦はゼロだ。例外的に海外派遣のみ医官が搭乗する程度だ。

対して同じ「船乗り」が多い海上保安庁では「海上安保体制強化に関する方針」を平成28年に定めて中途退職者を減らしている。具体的には入庁後のミスマッチ要因(業務イメージの乖離等)の削減、 柔軟な人事管理(ストレスの少ない初任地配属等)、 相談体制の充実(悩み等の早期把握と対応等)、その結果、急増している若年層(30歳以下)の中途退職率は、直近で1%程度に抑制されている。

海自は「手の内を明かすことになる」などといわずに、納税者に対して艦艇乗組員の充足率を明らかにすべきだろう。多くの納税者、そして政治家すらもこのような艦艇乗組員の低充足率の事実を知らない。これを隠蔽しておいて、いざ有事になって海自の艦艇が乗員不足でほとんど動かない、あるいは容易に撃破される、医官が乗っておらず、けが人の治療ができずに不要に死ぬ方がよほど大きな問題だ。

第二次世界大戦でも帝国陸海軍は都合の悪い情報を国民に隠蔽して「無敵皇軍」を演出し、メディアもそれを無批判に報じた。これが戦争に安易に突入した一要因でもあり、民間人にも多大な被害を出して敗戦した。

軍隊や自衛隊という秘密の多い組織こそ、できるだけ情報を公開することによって、組織の独善や独断専行を防ぎ、組織の透明性を担保するのが民主国家のありようだ。現在の防衛省・自衛隊の組織防衛のための秘密主義は国民の権利を侵害しており、有事に際してその対価は隊員と国民の血で支払われることになる。

乗組員の充足率の改善について海自も重い腰をあげて、乗員の負担軽減のためのクルー制の導入を開始した。11月に海自の新型フリゲイト艦、FFMの二番艦「くまの」が一番艦に先んじて進水した(一番艦は不具合が発生して進水が延期となった)。FFMの最大の目玉は個艦としての能力ではなく、むしろクルー制の導入だ。

クルー制とは同型艦に隻数以上の乗組員のチームを用意して、担当クルーの任務が終り、休息に入ったら引き続き次のクルーが乗り組むことによって艦の稼働率を上げるシステムだ。既に米英海軍や我が国の海上保安庁などでは採用されている。

海自でも2017年から第1音響測定隊の音響艦ひびき級で試験的に導入された。同級の2隻に3チームのクルーが編成されて交互に乗り組んで勤務している。この経験がFFMのクルー制に反映されている。FFMでは3隻あたり4チームのクルーが編成される予定だ。

1つのクルーが航海を終えた後にすかさず別のクルーが乗り組める。艦固有の乗員だと艦が定期整備を行うとその間は遊んでしまうが、クルー制ならば別の艦に乗り組むことができるので艦の稼働率が高まる。これによって乗員の航海時間の短縮と艦艇の稼働率の向上が可能だ。

ただ海幕によるとこれも暫定的な決定であり、艦とクルーの比率は変わる可能性もあるという。

海幕によるとFFMにクルー制を導入できたのには理由がある。まず船体の小型化と省力化で乗員を通常の汎用護衛艦の半分、イージス艦の三分の一程度の90名に抑えたことだ。これが大人数のイージス艦だと難しい。ついで艤装の標準化を厳格に行ったことだ。これまでの護衛艦は同じ型でも個々の艦で艤装がその都度異なっていた。例えば装置の型式や戸棚が全く別なものだったり、別の箇所に据え付けられたりしている。これではクルーが交代したときに戸惑い、支障が出る。戦時であれば尚更だ。

このクルー制の導入によって、例えば海賊対処などの海外任務では交代用のクルーを飛行機で現地の港に送り込んで交代することもできる。例えば中東と日本の間の移動が片道2週間とすれば往復で一ヶ月の航海が必要だ。クルー制ならば日本との往復が必要なくなり、その間の航海の必要もなくなり、クルーの負担が減る。また燃料も浮く。現在海賊対処派遣艦は移動も含めて半年交代となっているが、クルー制ならば例えば2〜3ヶ月交代ということも可能だ。

クルー制は今後FFMだけでなく、海自の艦艇の多くに導入されるべきだろう。長期の洋上勤務が嫌がられるために、海自の隊員募集が苦戦し、途中退職者も多い。艦艇の乗組員を確保するためには待遇改善のためにクルー制は必要不可欠だ。

これから建造される艦艇に導入するだけではなく、新造のイージス艦や既存艦にも広げるべきだ。だが先述のように既存の護衛艦同型艦でも艤装が異なっており、現状ではクルー制を導入できない。現在海幕では具体的な計画はないとのことだ。

海幕は新造されるイージス艦に関しては否定的だ。仮に艤装が統一化されても配備される地方総監部、すなわち母港が異なるので難しいという。だが手段がない訳ではない。米海軍のように1隻2クルーという選択もあるだろう。

また既存艦にしても、フネの定期修理のときに艤装を共通化すればいい。またその艤装の共通化と同時に省力化のための改修を行えばいい。特に乗組員の確保が難しい潜水艦は最優先でクルー制を導入すべきだ。無論退役が近い旧式艦はコストパフォーマンスが悪くて難しいだろうが、比較的艦齢が若いフネならば可能なはずだ。またフネの数を削減してその分を人件費に充てることも検討すべきだ。

▲写真 潜水艦にこそクルー制導入を 出典:海上自衛隊 facebook

イージス・アショア代案としてもクルー制はもっと真剣に検討されるべきだ。そもそも政府は海自のイージス艦の負担を減らすためにアショアの導入を決定した。現在は、アショア代替案はイージス艦増勢が本命と見られている。

だが元々は8隻のイージス艦でミサイル防衛は可能と説明してきた。そうであれば、乗員の負担を減らすのであれば、8隻のイージス艦にそれぞれ2クルーを用意すればいいのではないか。無論定期修理は必要だが乗員の負担は格段に減ることになる。

新たに2隻のイージス艦を造るならば新たに2隻分の乗員が必要だ。それを差し引けば6隻分の乗員を確保すればよい。既存のイージス艦なら調達単価は約2千億円だが、SPY7を転用した新型艦は1隻3千億円も4千億円も掛かるともいわれており、既存のイージス艦より維持費が高く、互換性もない。

そうであれば6隻分の乗員を確保した方がコストの面でも、乗員の負担の面でも低いだろう。

その期待のFFMだが艦としては問題も多い。そもそも建造費は昭和61年、34年前にネームシップが就役した、ゆき級護衛艦と同程度にすぎないその金額で、装備が高度化した現代的なフリゲイトが建造できるわけがない。

実際に取材していると「安く造ること」「乗員を減らすこと」が目的化しているように思える。だがその反面高性能なコンポーネントを安価に調達するという意識が低い。世界を見れば安くて高性能のものが多数あるのに、単価の高い国内業者発注ありきで、スペックを下げて「安かろう、悪かろう」という調達が見られる。

これはコンピュータやジャイロコンパス(慣性航法装置)、レーダーなどで顕著だ。ジャイロコンパスの例を挙げよう。国内のジャイロコンパスは護衛艦及び潜水艦(所謂戦闘艦艇)が東京計器、その他の補給艦 や海洋観測艦等は横河電子がそれぞれ独占している。調達は、名目上は競争入札になっているが、事実上の随意契約だ。

確かに昔はジャイロコンパスの方位やリッピ・ロールデーターは射撃式装置の性能を左右する重要なものだった。したが って、このような高性能のジャイロコンパスは射撃式装置の一部として航海用とは別に調達されていた歴史があり、その結果が秘密指定されていた。だが現在ではセンサーやジャイロに用いるレーザー等の技術や理論は一般化されており、海外製品はそれらの数値をパンフレットに明記している。つまり秘密はない。

つまりジャイロコンパスは汎用品であり、国内企業を優遇する必要はない。海幕は調達仕様書の細部要求数値が秘密に属する、あるいは注意が必要としているため、その秘密を保管できる体制を整備し、また国内整備を条件としている。このため入札資格にもっとも厳しいAランクを要求している。この規制のお陰で海外メーカーの代理店がB、Cランクであれば入札から自動的に排除される。

だが現在のジャイロコンパスはメンテナンスフリーである。ジャイロコンパスの稼働時間は、航海している時間だ。仮に年間母港を離れている日数を150日、この日数全てを航海していると仮定すれば 、ジャイロコンパスが稼働している時間は3,600 時間だ。

平均故障間隔(MTBF:Mean Time Between Failures) が15万時間であれば、これを年間3,600時間の稼働時間で割れば、故障が発生するのは 平均で41.7年に 1回に過ぎない。この数字は艦艇が就役して除籍されるまでの年月を越している。つまり、基本的に整備点検を行う必要が無い。工場に戻ってくるのは、基本的にソフトウェア更新(アップグレード)のためだ。

ところが海自の全ての艦艇は定期検査等の度にジャイロコンパスの校正や整備点検を行っている。この費用は全艦艇分を合わせれば、巨額になる。このような点検は不要、あるいは国産品の品質が劣悪であるか、その両方ということになり、国産品を選ぶのであれば税金の無駄使いとなる。これは事実上国内メーカーへの補助金といってよい。このような仕組みは事実上の非関税障壁であり、フェアではないし、税金の浪費といえるだろう。

FFM2隻分のジャイロコンパス、OSNー3 2SEの調達費用は4億7,487万6,000円であり、1隻分2.37億円である。対して仏サフラン社のBLACK ONYXは約7千万円、同じく仏iXblue社のMarines M5が約4千万円、M7が7千万円である。つまり国内製品は3.4倍から6倍も高い。更に「整備費」が掛かるので、実際はそれ以上だ。公正な競争入札を行えばFFMの建造費や維持費はもっと安くなるだろう。その分の費用を、乗組員を増やしたり、航海手当などに充てるべきだろう。

採用されたOPY-2多機能レーダー(三菱電機製)は平成27年度からの「新型護衛艦用レーダシステムの研究」に基づき、これまでのFCS-3系列とは別系統のレーダーとして開発されたもので、Xバンドの対空・対水上レーダーおよび砲管制に加えて、電子戦のアンテナも共用化することで、小型化・低コストを目指したものだ。だが初めての装備であり、電子戦(ESM、ECM)のアンテナを兼ねるのは、海自関係者からもリスクが高いとの指摘もある。

▲写真 FFMくまののレーダーはOPY-2を採用 出典:海上自衛隊ホームページ

例えば対艦ミサイル対処を行っている時にESMとECMは同時に実施する戦術だ。つまり、当該レーダーによる目標の探知追尾と同時にミサイルから発せられるシーカー波を探知し解析装置に送る必要があり、さらにECM攻撃を行うとなれば、自らの探知追尾用のレーダー波の周波数及び変調方式と相手ミサイルのシーカーを無効化する周波数及び同変調方式の二つの電波を同時に(正確にはミリセコンド単位で切り替えて)発射することが本当に可能かどうかということに大いに疑問が湧く。

対潜センサーとしてはOQQ-25水上艦用ソーナーシステムが搭載される。これは「可変深度ソーナーシステム(バイ/マルチスタティック用)」として開発され、曳航ソナーにアクティブソナーとしての機能を付加した可変深度ソナー(VDS/TASS)であり、自艦・僚艦間でのバイ/マルチスタティック戦術を可能とする。

バイ/マルチスタティック処理は僚艦が居る場合、自分の出した音波の潜水艦からの反射音を僚艦が受信して部隊として処理する方式だ。だが複雑で理論としては探知確率を上げ装備可能なのだが、複雑なシステム(時間同期、処理データの送受)であり、世界で実際に実用化して装備している艦艇は皆無だ。

電子光学センサーとして、OAX-3光学複合センサー(三菱電機製)が搭載される。調達単価は2億1,600万円だ。EO/IRターレットは世界で安価な同等品が出回っており、開発費の2億6千万円も掛け、1基あたり2億1千万円するものを国産化しなければならない理由が見当たらない。

また新たに近接防御用として採用されたRWS(リモート・ウェポン・ステーション)も問題が。RWSとは機銃などの火器とセンサーを搭載した無人砲塔で、射手は遠隔で操作する。

海自はRWSの採用では中進国からも2周遅れで昨今やっと採用した。その間諸外国の製品をサンプル購入して試験運用をしたが、運用ノウハウを蓄積することを怠ってきた。

国産RWSは当初陸自向けに開発されたが採用実績はなかった。そもそも採用にあたって評価したのは日本製鋼所とコングスバーグだけだった。それも書面だけの審査だ。英国、イスラエル、海軍用RWSを生産している国々のメーカーの製品をきちんとリサーチもしていない。特にコストを重視するならばトルコを調査していなのは問題だ。トルコのアセルサン社は多くの海軍用RWSを開発し、輸出実績も少なくない。そして価格は欧米よりもかなり安い。コスト低減を真剣に考えるならばアセルサン社の製品の調査はマストのはずだった。

そして採用された日本製鋼所のRWSにしても経費節減のためか、既存の艦に搭載して運用試験や評価すらしていない。陸用に開発されたRWSを海上で使うためには改修が必要不可欠である。監視や目標探知が問題なくできるか。塩害対策は万全か等々の確認や試験は必要不可欠だったがそれをしていない。これでは不具合が起こって当たり前だ。

そして割高な国産RWSの「コスト削減」をするため、レーザー測距儀や自動追尾装置を外した。艦に光学センサーがあるからいいのだと強弁しているが、であればどこの国のRWSもそうしているはずだ。が、筆者の知る限りそんな海軍は存在しない。海幕も装備庁も何のためにRWSを導入するのか、真面目に考えていないのではないか。

RWSが担当するのは近接している高速艇やドローンなどを排除するためだ。これにレーザー・レンジ・ファインダーや自動追尾装置は必須だ。また交戦が正当かの証拠保全のために録画機能も必要だが、これもコスト削減のためか搭載されていないようだ。

ちなみに海保の巡視船には同様の無人砲塔が搭載されており、北朝鮮の不審船との交戦の模様はビデオで録画されていた。ニュースで見た記憶のある方は多いだろう。あの事件は2001年に発生したが、海自のセンスは当時の海保よりも遅れていると言ってよいだろう。

コスト削減ならば、兵装は高くて信頼性の怪しい住友重機製ライセンス生産の12.7ミリ機銃ではなく、オリジナルのFN社のものを調達すべきだった。そうすれば機銃調達費を80パーセントは下げられた。ところが国内業者に金を落とすためにわざわざ「高かろう、悪かろう」の機銃を選んだのだ。

海幕はRWSの導入を単に機銃の数を減らし、見張りと共用化することによって省力化することを目的としていたのではないか。艦内から見張りができれば担当者の負担も減る。だが、それは実戦を想定していない。

防衛装備庁の説明ではFFMは他に機銃も搭載しない。つまり2基のRWSでは最低でも180度ぐらいは死角ができる。特に艦の後方はがら空きだ。他の護衛艦と違い、後部に搭載されているのは機関砲を装備したCIWSでなく、ミサイルのみを搭載したSea RAMだからだ。

他国の水上戦闘艦では死角ができないように12.7ミリ及び、7.62ミリ機銃や7.62ミリのミニガンなどが搭載されている。また他国で搭載されている中口径機関砲のRWSもない。これでは主砲と12.7ミリ機銃を搭載したRWSの間はがら空きとなる。これはドローン対策でも問題だ。ただ装備庁の説明とは異なり、海幕では他に機銃も搭載すると説明している。

コストと人員削減を前提としたFFMのコンセプト自体は間違いではないだろう。だが、開発に際してはコスト削減を叫びながら、他国の海軍のように国際市場でコストパフォーマンスの高いものを探さずに、高価格の国産コンポーネントを採用している。

国際競争に晒されておらず、自衛隊向けの市場を独占、寡占している日本メーカーはコスト削減も性能向上のインセンティブも働かない。だからFFMもスペックダウンして「高かろう、悪かろう」になっている。

省力化が本来必要な能力や人員を削るのでは意味がない。寧ろ必要な乗員や能力を確保すべきだ。そのために調達コストが上がるならば。調達隻数を減らしてもまともなフリゲイトを調達すべきだ。

 (後編に続く。全2回)

トップ写真:進水したFFM二番艦くまの(2020年11月19日 三井E&Sホールディングス玉野工場) 出典:海上自衛隊ホームページ