1月28日、仮想通貨取引所、コインチェックから大量の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正流出するという衝撃的な事件が起きた。奪われたのは同社が顧客から預かっていた5憶2300ネム(当時の実勢レートで約560億円)。同社は仮想通貨取引所として対応しておくべき「マルチシグニチャ」「オフライン管理」など不正アクセス対策を怠っており、ずさんな管理体制を狙われる格好となった。今回の事件によって、常にハッカーに狙われ流出・消失しかねない仮想通貨のリスクが浮き彫りになり、仮想通貨の将来を不安視する声も聞かれる。

 しかし、仮想通貨そのものが「危険な存在」であるわけではない。さらに言うと、この事件によって仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンの信頼性や将来性が損なわれたわけではない。

 野村総合研究所 ビジネスIT推進グループ グループマネージャー/上級研究員の城田真琴氏は、最新著書『大予測 次に来るキーテクノロジー2018-2019』で、ブロックチェーンは経済や経済を変革する可能性を秘めているという。

 ブロックチェーンは「障害に強い」「透明性が高い」「改ざんできない」「管理者が不要」という特徴を持つ画期的な技術である。 <今後は、仮想通貨のインフラとしての利用から、取引や権利の記録、さらには、スマートコントラクトのような、将来、発生する手続きや処理の記録へとブロックチェーンの適用分野は広がっていくだろう> というのが城田氏の見立てだ。長い目で見れば、今回の事件は、仮想通貨が投機対象から脱却する機会と捉えられるかもしれない。