消費や賃金については基本的には暗い話ばかりだが、明るい材料もある。土壇場で米中は決裂せず、部分的な妥結で合意に達した。あくまで暫定的な措置であり予断を許さないが、とりあえず米国経済が失速するリスクは大きく後退したとみてよく、日本企業にとっては朗報である。

オリンピック特需はそもそも大きくない

 一部からはオリンピック特需が消滅することで2020年は急激に景気が悪化するとの声も出ている。先ほどから説明しているように、2020年は消費にとって逆風が吹くので、楽観的な予想を立てられる状況ではない。

 だが、オリンピック特需の消滅で、一気に経済が傾くといった事態も現時点では考えにくいだろう。というのもオリンピック特需は、かなり過剰に評価されており、現実にそこまでの効果は存在していないからである。

 ここ数年、首都圏を中心に大都市圏では建設ラッシュが続いており、これらの案件にはオリンピック関連の設備も含まれている。だが、次々に建て替えられているオフィスビルはオリンピック特需とは直接的には関係しない。空前の低金利によって銀行は融資先の開拓に苦慮しており、余剰となったマネーが安全な融資先として都市部のオフィスビルに集中している。これが建設ラッシュを引き起しているのだ。

 十分な需要がない状態で過剰にビルを建設することは、長期的には減価償却(マクロ経済的には固定資本減耗)を増加させ、賃金に悪影響を与えるが、短期的にはこうしたマイナスは顕在化しにくい。したがって、オリンピック後もしばらくの間は建設ラッシュが続くだろう。

 マンション建設も同じである。都市部のマンション価格は資材価格の高騰などから上昇が続いてきたが、金利が下がっている分、購入者が支払う総額はそれほど増えておらず、これがマンション価格の高騰に拍車をかけてきた。賃金が上がらない中、マンション価格が高騰したことで、2019年に入って販売数量は大幅に減少している。