だが、低金利が続くうちは、デベロッパーは銀行から容易に資金を調達できるので、キャッシュの確保を目的に投げ売りする可能性は限りなく低い。販売不振であるにもかかわらず、マンション価格が下がらないのはこうした理由からである。2020年は今年と同様、販売不振が継続するが、大きな値崩れもなく、市場はあまり動かない可能性が高い。

消費低迷を政府支出でカバーできるか?

 整理すると2020年は、企業の業績が悪化する可能性が高く、人員整理が加速するおそれがある。また、残業規制が中小企業にも及ぶことで、賃金はさらに低く推移すると考えられる。このため、米中の劇的な合意によって一気に株価が上昇したり、米国の消費が活発になるというポジティブサプライズがない限りは、消費がさらに低迷する可能性が高い

 政府はこうした事態に対応するため、2019年12月に総額26兆円の大規模な経済対策を打ち出した。26兆円というのは総額の事業規模で、実際の財政支出は13兆円だが、2016年に打ち出した前回の経済対策に匹敵する金額である。この中には景気押し上げ効果が高いとされる公共事業が多く含まれているが、公共事業によるGDPへの寄与度は年々低下が進んでおり、あまり期待はできないだろう。

 日本はすでにインフラを造り過ぎており、新規建設から40年以上が経過し、老朽化が進んでいるものも多い。仮に公共事業が実施された場合でも、新規建設ではなく、従来のインフラ更新に充当される部分が多く、景気対策という点では十分に効果を発揮しない可能性がある。建設業界の人手不足も解消されておらず、案件を消化できないリスクも残ったままだ。

 マイナンバーカードの普及促進を兼ねたポイント付与など、いわゆる単純なバラマキ政策もあるが、基本的には金額分しかGDPの増加には寄与しないと考えた方がよい。経済対策を実施した分だけ、押し上げ効果は期待できるが、継続的な成長にはつながらないだろう。

 自発的な消費の拡大が見込めない以上、2020年は、2019年と同様、米中の交渉結果を見守るしか方法はなさそうである。

 年が明けるといよいよ米大統領選が本格化するが、状況が見えてくるのは年後半である。少なくとも年前半については、米中交渉の結果次第ということになるだろう

(加谷 珪一)