一方のシャープは、現在アップルのスマホ用液晶の販売等への好調で、自社工場の稼働率が上がっている。つまり、アップルは最大の顧客になっている。

 現在でも、シャープの業績はiPhoneの売れ行きに影響されてきた。「アップル依存」を改善しようという動きもある。

 アップルは敵か、味方かという論理よりも、原則に立脚し、立場でなく利害に焦点を合わせる必要がある。これが、シャープの下記見解につながる。

「当社は、白山工場の取得によって生じる当社業績への寄与やリスクの有無・程度など、様々な観点から、慎重に検討を進めております」

 シャープは、鴻海傘下になってから、厳しく事業評価してきているのだ。

新たな役者「いちごアセットマネジメント」

 そもそもJDIの支援を巡っては、これまで紆余曲折を経て来た。

 2019年4月には台中3社による800億円の支援が発表されたが、その後、台湾2社が交渉を離脱。それでも8月には、中国ファンド嘉実基金と香港ファンドで構成する企業連合「Suwaインベストメントホールディングス」と800億円の支援受け入れで契約を結んでいた。ところが土壇場で、嘉実基金が、9月26日に支援見送りを通知してきた。企業連合からの出資受け入れを決める臨時株主総会の前日だった。

 一部の株主は、事前に議決権を行使している。このため株主総会で議決を見送る選択肢はなく、Suwaとも継続交渉すると提案せざるを得なかった。だがこの時すでにSuwaからの出資の可能性は無くなっていた。

 その後の交渉により、幸いにも12月12日、いちごアッセットマネジメントと800億円から900億円の資金調達に基本合意した。二転、三転した再建策だが、ここにきてようやくまとまる可能性が出てきた。

 いちごアセットマネジメントは、日本株投資に特化した独立系の投資顧問会社だ。「モノを聞く株主」を企業哲学としており、投資先企業の経営陣、従業員の言葉に耳を傾け、企業価値の向上を支援するとしている。社名の「いちご」は千利休が説いた茶人の心構えである「一期一会」に由来している。

 創業者スコット・キャロン氏は、米国出身で日本在住28年で、日本の永住権を取得している。日本開発銀行や外資系証券会社に勤務した経験があり、2006年5月より、いちごアセットマネジメント株式会社代表取締役社長を務めている。