背景には、欧州の電動車への意識の変化があると思われる。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は、欧州グリーンディール政策を積極的に推進している。そうした政策が浸透し、欧州社会で環境意識がますます高まっているのだ。

 2018年頃までの自動車産業界では、電動化については米カリフォルニア州のZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)法や中国政府のNEV(新エネルギー車)規制政策等に対応するための「法規制ありき」という概念が常識だった。各メーカーの開発現場ではそうした意識がいまだに根強いが、経営陣の中からは「(欧州での動きを踏まえて)長期戦略としてEVに本腰を入れるべき時期」という声が出てきた。

 いわゆる「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)と呼ばれる次世代に向けた技術革新の中で、EVについては明らかに「潮目が変わった」印象がある。

見えてこないトヨタの具体的なEV戦略

 では、トヨタはこうした変化をどう捉えているのか?

 トヨタは2015年10月に、2050年に向けた長期ビジョン「環境チャレンジ2050」を発表した。トヨタはこのなかで電動車の普及ロードマップを描き、社会の変化に合わせて何度か修正してきた。

 現時点では、2025年頃までに全車種に電動車を設定し、2030年にトヨタ全販売車のうち電動化比率を50%以上、EV・FCV(燃料電池車)比率を10%以上とすることを目標に定めている。トヨタが示す図表では、2050年時点でもハイブリッド車とプラグインハイブリッド車が主流で、EVと燃料電池車は20%程度と見積もっている(下の図)。