現状では、トヨタの具体的なEV戦略はなかなか見えてこない。大々的なEVシフトを表明し、フォードと手を組んだフォルクスワーゲンなどの積極的な動きとは明らかに方向性が異なる。トヨタとしては、現在進めているハイブリッド車技術を中核とした電動化技術の特許使用権を無償開放し、興味を示す他の自動車メーカーや部品メーカーに、トヨタ関連の技術支援による事業を拡大することが、電動化ビジネスの軸足にある。一方で、EVプラットフォーム開発の具体案は明らかになっていない。

トヨタはEVの先を見据えている?

 一方で、ハイブリッド車と同様にトヨタが世界の自動車産業界をリードする燃料電池車については、積極的な動きを見せている。

 トヨタは6月5日、中国メーカーと共に、中国での燃料電池車の普及を進める「連合燃料電池システム研究開発(北京)有限会社」を設立した。連携したのは、トヨタが中国で量産車の合弁事業を組む中国第一汽車や広州汽車、中国地場大手の東風汽車や北京汽車、中国の燃料電池開発大手でバスなど商用車向けに量産している億華通(SinoHytec) といったメーカーである。

 中国政府は2016年に公開した「中国国家省エネ車及び新エネ車ロードマップ」で、国内での燃料電池車の普及台数を2020年に5000台、2025年に5万台、そして2030年に100万台を目指すとし、燃料電池車の技術で世界をリードするとの目標を立てている。

 燃料電池車の需要の主流は、バスやトラックなどを想定しているようだ。トヨタは3月に、グループ傘下の日野自動車と燃料電池大型トラックの共同開発を進めると発表している。

 こうした一連の流れを見ると、トヨタは、EVおよび、その先にある燃料電池車の普及を大局的に見据えているように思われる。その中で、世界で最も燃料電池車の普及が早く進むと見込まれる中国との関係を大事に育てようとしているのであろう。

(桃田 健史)