また、国内回帰は単に生産を戻すということではなく、ものづくり全体(開発設計〜生産技術〜生産)の力をさらに向上する戦略構築とその推進を行うことで、国内回帰の本質的な意味合いを達成できるのである。これにより、コロナ前に課題であった海外で稼いだ資金を、日本国内の開発投資(製品・生産技術)に回せないという事象も解決に向かうと思える。

 国内回帰の話をすると海外とのコスト競争の話になることが多いが、労務が高騰してきた国と比較すると、日本ではその国に対して2〜3倍の労働生産性がクリアできれば日本での生産性に分があること推算できる。これは、新たな生産の方法や自動化などものづくりの力を強化すれば達成できるレベルである。

 言わずもがな、製造の労務コストは「労務単価」×「時間」である。海外生産で「労務単価」の低減は比較的早くできる。ただし、この「単価」を落とすことで改革・改善が停滞した企業は「時間」の低減に対して革新的な手を打っていないことが散見される。単価の低減で満足してしまうのである。そういう状態になると単価の安い国に焼き畑農業のように移ることになり、知恵を使って革新したとは言い難く、技術・生産の体質も向上せず、ものづくりの力が本質的に向上してこないのである。

 我々は、多くの製造業に関係する仕事をしているが、リーマンショック時の苦しい時に前述の「ものづくりの体質」を上げてきた会社は、その後も現在の新型コロナの環境下でも強さを保っている

2.新型コロナの混乱期に国内「ものづくり」の見直しを

 生産分担の見直しの話をすると、どのような製品を国内回帰させるのかという問いが出てくるが、この着眼点は、物流効率×付加価値や模倣困難性担保が必要な製品が適していると考える。

 高付加価値品を国内で生産する場合、競争力を高めるには、商品性が高い高難易度品を造ることが必要で、それらを圧倒的なQCDで造ることが重要になる。これらは自動化や現場の力と知恵、そしてマネジメントで達成すべきである。

 マネジメントという視座では、短期〜長期の中で複数のフェーズに分け、勝てるものづくりの戦略とチャレンジを工場の事業目標に掲げ、戦略的投資に加え、組織・人の力を出し切る場をつくり、成果を得ていくことが大切である。また、これらの目標達成にはスピードが大切な要素である。特に混乱期からの立ち直りで競争優位となるためにはスピードは不可欠な要素であろう。