「免疫パスポート」獲得への道のり

 日本では新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加しており、第2波の到来が指摘されている。日本国内の旅行を支援し、観光需要を喚起するために政府が絞り出した「Go To キャンペーン」も、感染を全国に拡散させかねないと懸念の声が噴出する事態である。

 感染者が知らずに移動し、ウイルスに触れていない人と接すれば、容易にウイルスがうつってしまうのではないか。そうした不安の背景にある要素の一つは、感染症に対する免疫を多くの人が持っていないと考えられていることだろう。世界保健機関(WHO)などは、抗体を持つ人に移動の自由を与える「免疫パスポート」を紹介している。その背景には、感染に抵抗力がないうちに、人々の移動の自由を認めるのは困難ではないかという考え方がある。

 免疫パスポートの答えとして「ワクチン」は待望されている。これまでも多くの記事で紹介され、筆者も継続的にリポートしているが、大阪大学発ベンチャーのアンジェスがDNAワクチンの臨床試験を進め、米国オックスフォード大学とワクチンを共同開発するアストラゼネカも日本での早期承認を目指すと報じられた。7月17日に公明党が開いた合同会合によると、日本国内の感染者は皮肉にもワクチンの安全性を調べるためには少なすぎ、海外データを承認に用いる方向だという。

 海外の論文に目を通すと、ウイルスへの免疫のとらえ方は世界的な転換点にあると気づく。筆者はこれまでも動物のコロナウイルスについての知見も交えながら触れてきたが、改めて最新の研究を踏まえて新型コロナウイルスへの免疫について考察する。