中国が新型コロナワクチンの緊急使用に踏み切ったことが報じられた。「不活化ワクチン」を医療関係者や行政官などに7月22日から接種を開始したという。去る8月22日、テレビネットワークCCTV(中国中央電視台)の番組「対話」において国家衛生健康委員会の幹部が不活化ワクチン接種の方針を説明、それが国際的に注目された。対象者の範囲と期間に一定の制限を設けるようで、年内には一般にも広げるとの報道も出ている。

 中国では別のワクチンの開発が先行しており、今回の不活化ワクチンは実用化を目指すワクチン候補の中では一番手ではなかった。その不活化ワクチンが緊急使用という形で先行したのは不思議に思われるが、シノファームが国営企業という事情に加えて、臨床試験のフェーズ2を終え、評価がある程度、固まった背景という評価もあるのだろう。

 もっとも、先に世界で注目されたロシアによるワクチンスピード承認もそうだが、今回、中国で緊急使用が認められたからといって、新型コロナウイルス感染症が制圧されるというわけではない。不活化ワクチンを開発しているグループの研究報告なども踏まえ、不活化ワクチンについて考察する。