自然栽培の水田にウンカが来ない理由

 実は、自然栽培を進める山田氏の水田は他の田んぼと比べてトビイロウンカの被害が少ない。その理由は生育の遅さと稲の密度にあるという。肥料を一切与えないため、山田氏の水田は慣行栽培の他の水田と比べて稲の生育が遅い。坪あたりに植える苗の数も少ないため、他の水田よりも稲が短く、密度も薄い。

「これがいいのよ。生き延びるために、ウンカだってなるべく食べ物の多いところに落ちたいじゃない。梅雨が来る時に他よりも生育していなければ、まず大丈夫。収量を増やそうとして密植にして、肥料を増やすからやられてしまう」

 そう言って笑う山田氏だが、自然栽培の彼の水田も無敵ではない。今年はジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の被害を受けた。外来種のジャンボタニシは植えたばかりの稲の苗を食べるため、植え付けた後の管理が重要になる。ただ、複数の水田で順次、田植えをしていくため、植えた後の管理が難しい。

「ジャンボタニシが出ると水田の水の量を5cm以下に下げる。ただ、そうすると雑草が出てくる。ジャンボタニシは普通の慣行栽培ではクスリで退治できるからウンカよりはマシ。実は、ウンカが出ても水の量を増やせば一発で退治できるが、田んぼは隣とつながっているでしょ。勝手に水の量を増やすわけにもいかないから難しい」