(小林 麻理:社会保険労務士、ビジネスコンテンツライター)

38%を占める非正規の賃金水準は正社員100に対し65

「同一労働同一賃金」に関する法律が、2021年4月より中小企業へも適用開始になる。その背景となったのが、正規雇用労働者(以下正社員/正規)と非正規雇用労働者(以下非正規社員/非正規)*1との格差だ。

まず、2019年時点で労働者全体の約38%を占める非正規社員の割合は、男女ともに増加傾向が続いており、女性の割合は男性の倍以上の水準である(下図)。

 また、2005年と2019年の勤続年数や年齢(下表)に注目すると、非正規社員は勤続年の長期化とともに高齢化しており、特に男性(勤続年数が6年→10.5年、年齢が45歳→51.3歳)にその傾向が顕著だ。その一方で、正社員を100とした非正規社員の平均賃金水準は64.9となっている。

 そして2019年時点の年齢層別賃金を見ると(下図)、正社員と非正規社員、男性と女性との賃金格差が各年齢層で大きいことが分かる。賃金カーブとして特徴的なのは、男性正社員のみが右肩上がりに賃金が上がり続けたのち、60歳以降に一気に下がることだ。

「働き方改革」では、議論が始まった2017年当時も同様だった男女間・正規−非正規社員間の格差状況から、「長時間労働の是正」とともに「女性・非正規社員の処遇改善の観点からの同一労働同一賃金の実現」が掲げられ、2018年にパートタイム・有期雇用労働法と労働者派遣法*2の改正が行われるに至った(本稿ではこの法改正を「日本版・同一労働同一賃金」と称する)。

 では、そもそも「同一労働同一賃金」とは何か、そして今回の法改正が日本人の給与と働き方に及ぼす影響はどのようなものか――。「働き方改革実現会議」の構成員として「同一労働同一賃金ガイドライン(以下、ガイドライン)*3」策定にも深く関与した東京大学社会科学研究所 水町勇一郎教授に「日本版・同一労働同一賃金」の本質について聞いた。