世界は「脱炭素」に向けて電気自動車(EV)に突き進んでいる。もちろんその背景には、環境規制の強化がある。

 欧州連合(EU)は、2018年12月17日に、乗用車のCO2排出量の企業平均目標を2030年までに60g/km以下に減らすことで合意した。守れないメーカーには巨額の罰金が課せられる。また中国は、2019年に「NEV(New Energy Vehicle)規制」の導入を始めた。自動車メーカーは中国での生産・輸入量に応じて、NEVの生産実績で付与される「クレジット」を一定比率獲得しなければならない。世界の自動車メーカーは、欧州と中国の環境規制の強化により、EVに突き進んでいる。

 EV専業の米国テスラは、2020年7月に株式の時価総額でトヨタを抜いて自動車メーカーのトップに躍り出た(【図1】左上)。国内メーカーを見れば、日産は2010年にリーフを発売し、2017年には2代目リーフを発売した(【図1】右上)。トヨタは、ハイブリッド車(HEV)と燃料電池車MIRAIに注力しEVに出遅れていたが、EVコンセプトカーLF-30 Electrifiedを東京モーターショー2019で発表した。ホンダは、東京モーターショー2019で量産型EV「Honda e」を日本で初展示した(【図1】左下)。マツダは、「環境問題は内燃機関の燃料改善により対応できる」との姿勢を貫いてきたが、初の量産型EV「MX-30」を世界初公開した(【図1】右下)。日本のEVは出遅れていたが、やっと出そろった。

ようやく「脱炭素」に舵切った日本

 日本は、遅ればせながら「脱炭素」に向け急速に舵を切った。

 菅義偉首相が、2020年10月、50年までに温暖化ガス排出を全体としてゼロにする、すなわち日本が脱炭素を実現すると宣言したからだ。これを受け、経済産業省は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定した。

 経産省のグリーン成長戦略では脱炭素への転換イメージとして、日本の温暖化ガス(二酸化炭素=CO2換算)の年間排出量を、18年の10.6億トンから50年に実質ゼロへ結びつける野心的な計画となっている(【図2】参照)。50年の再生可能エネルギーの比率は、参考値として、現在の約3倍の50〜60%にすることが示されている。

 グリーン成長戦略では、日本政府は2兆円の巨額投資を行い10年間継続して支援していく。対象として14の重点分野を取り上げている。筆者は、2021年3⽉3⽇の⽇本経済新聞「経済教室」に、「脱炭素、過去の教訓に学べ 電機業界 生き残りの条件」を寄稿した。今回はこの寄稿に取り上げていない「自動車・蓄電池産業」について述べてみたい。