TSMCの半導体工場が止まった時のインパクト

 このような状況の中で、2020年第4四半期に、TSMCの出荷額に占める車載半導体の割合が1%足りず、3500万ドル不足しただけで、日米独の政府が動かなくてはならない異常事態となった。

 前述のSIAの「極端な仮説」では、台湾のファンドリーの半導体生産が1年間止まったら、1年間で4900億ドル(約50兆円)の減収になると結論した。

 しかし、世界のクルマ産業は、1年間の売上高が400兆円規模である。そして、クルマは2〜3万点の部品から構成されており、部品が1個足りないだけでも完成車はつくれない。

 もし、TSMCの生産が1年間止まったら、世界の完成車メーカーは40nm以降の先端プロセスで製造された半導体を入手できなくなる。したがって、TSMCの半導体工場が1年間止まった場合、クルマ産業の400兆円が吹き飛ぶことになる。SIAは「約50兆円の減収」と試算したが、1桁金額が小さいと言わざるを得ない。

車載半導体市場に占めるTSMCの割合

 図6に、2018〜2020年の世界半導体市場における分野別の出荷額を示す。最も規模が大きいのは、コンピューターとコミュニケーション(スマートフォン等の通信)用の半導体である。一方、車載半導体は、概ね500億ドル強の市場である。2020年の世界半導体市場は4403億ドルだったから、車載半導体市場が世界に占める割合は11.4%である。