文=渡辺慎太郎

日本での正式発表は秋頃の予定

 レクサスのSUV、NXがフルモデルチェンジをしました。日本での正式発表は秋頃の予定なので、詳細なスペックや価格などはまだ明らかになっていません。それでもネットなどでの反響はたいそうなもので、そこそこ人気のモデルだったという認識はあったものの、レクサスNXがここまで注目される車種だったとは正直ちょっと驚きました。

 初代NXの登場は2014年。以来、90以上の国と地域で販売され、累計約100万台に達しているそうです。日本国内のレクサスのSUVは大きい順にLX/RX/NX/UXと4タイプの布陣で、NXはUXよりは大きいけれどRXよりは小さいという「ちょうどいい」感じのボディサイズが、特に都市部で生活する人にとっては好まれているのかもしれません。

 ちなみに今回のフルモデルチェンジにより従来型よりもボディサイズは大きくなって全長4660mm(+20mm)、全幅1865mm(+20mm)、全高1640mm(+5mm)、ホイールベース2690mm(+30mm)を有しています。

 新型NXは通称「Kプラ」と呼ばれるトヨタのGA-Kプラットフォームを使っています。よって例えば2690mmのホイールベースはRAV4やハリアーと同値なのですが、そのフォルムは紛れもないNXのそれで、デザイナーの力量がいかんなく発揮された成果と言えるでしょう。

 ひと昔前なら「同一プラットフォーム=中身は同じ」なんでこともありましたが、現在のプラットフォームというのは設計の自由度がずいぶんと広くなったので、デザインのみならずボディの内側についてもオリジナリティを付与できるようになっています。NXの場合も、RAV4などではリヤのオーバーハング部に収納されている12Vバッテリーの位置をわざわざホイールベース内に移動させるなど、随所にこだわりが見て取れます。

人間中心の思想に重きを置いた
デザインコンセプト

 インテリアで目を惹くのは大型(14インチ)のセンターディスプレイです。これはタッチパネル式なので、センターコンソールからコントローラは消え、機械式スイッチは最小限となりました。メーターパネルもフル液晶で、さらにまったく新しいグラフィックのヘッドアップディスプレイも装備されています。

 レクサスでは人間中心の思想に重きを置いた「Tazuna Concept」というコクピットデザインのコンセプトを掲げていて、これが100%具現されたのが新型NXとのこと。確かに、これまでのレクサスとは一線を画す雰囲気が写真からも漂っています。

 なお、マルチメディアやメーターなどの周辺機器は、車載の通信端末によるOTAソフトウエアアップデート機能を装備。長く乗っていても新機能の追加や既存の機能の改善などが行えて、常に最新の状態を保つことができます。

 新型NXの最大のトピックは、レクサス初となるPHEV(プラグインハイブリッド)を含むパワートレインがなんと6種類も用意されている点でしょう。「2.5L PHEV E-Four」はリヤに後輪を駆動するためのモーターを備えた4WDで、満充電の状態から約80kmものEV走行が可能。駆動用のリチウムイオンバッテリーはフロア下に置き、低重心化を図って安定感のある走りが特徴だそうです。

 「2.5L HEV E-Four」は簡単に言えば、PHEVから充電機構とリチウムイオン電池を取り外した仕様で、4WDが必要ないという方のために「2.5L HEV FF」も用意されています。「2.4L-T AWD」は新開発の2.4L直列4気筒ターボを搭載する、言ってみればNXの中ではもっともHOTなバージョンです。駆動形式は電子制御式のフルタイム4WDで、走行シーンに応じて前後の駆動力配分を75:25から50:50に常時可変することにより、いつでも前後に最適なトラクションがかかるようになっています。

6種類ものパワートレインを有する

「2.5L AWD」は2.5Lの直列4気筒エンジンと電子制御式のスタンバイ4WDを組み合わせた仕様で、基本は前輪駆動で走り、必要な時だけ後輪も駆動させるシステムです。このエンジンにも、「4WDは必要ない」という要望に応えるべく「2.5L FF」も用意されています。6種類ものパワートレインを有しているのはレクサスの中で新型NXのみ。さらに4WDのシステムは、リヤモーターを使用するタイプとフルタイム4WDとスタンバイ4WDの計3種類もあって、市場の幅広いニーズをこぼさず拾い上げようとするなんとも顧客フレンドリーな商品戦略です。

 ボディ各部には補強ブレースや補強パネルを追加して、ボディ剛性のアップが綿密に行われています。高いボディ剛性はサスペンションがしっかりと仕事をしてくれる要因のひとつですが、振動や騒音の低減にもとても重要なファクターです。特に静粛性はレクサスの十八番とも言える性能であり、まずはしっかりとしたボディを構築。加えて随所に吸音材や遮音材を適材適所に配置してキャビン内のノイズの低減を図っています。

 この他にもボディの気密性やドアのシール性を向上。フロントのドアガラスには高遮音タイプを採用する念の入れようです。また、ボンネットにはツインロック構造を用いて、空気の乱れによるボンネットの振動を抑制しているそうです。

 RAV4やハリアーは決して悪くないクルマなので、同じプラットフォームにさらに大幅に手を加えたNXが悪いはずはないと思います。上質なしつらえのインテリアと質感の高い走り、静かな室内に快適な乗り心地、そんなSUVにきっとなっているだろうと期待しています。

(渡辺 慎太郎)