※本コンテンツは、2021年5月27日に開催されたJBpress主催「第1回 総務・法務イノベーション」の基調講演「企業価値の向上に貢献する“戦略総務”という考え方 〜総務が戦略的に動くと会社が変わる〜」の内容を採録したものです。

株式会社Hite & Co.
代表取締役社長
金 英範 氏

総務の仕事は多様だが、大きく「3つ」の役割がある

 外資系から日本企業まで、総務部の社員として数々の企業を渡り歩いてきました。現在はHite & Co.というコンサルティング会社で、総務・ファシリティマネジメント戦略、企業の不動産戦略(CRE)、オフィス改革プロジェクト、総務社内セミナー・資格試験講習などを中心に企業の総務部へのアドバイスのみでなく、実務的な支援業務も行なっています。

 今回のセミナーにおいては、私の長年、総務の仕事に従事してきた経験から、総務が“戦略的に動く”ことがどのようにして企業価値向上の貢献につながるのかを紹介したいと思います。

 そもそも「総務」の仕事とは何なのでしょうか。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)のスキルディクショナリーが公開する「総務の業務 36種MAP」で定められていますが、これをもう少し分かりやすく整理すると、総務のジョブ区分は4つに大別できます。

●不動産戦略アセットマネジメント
自社保有資産管理、ポートフォリオ戦略、財務計画、プロパティマネジメント、テナントマネジメント、中長期スペース戦略

●オフィスづくりプロジェクト管理
企画・設計、ワークプレイス計画、働き方要件、オフィスレイアウト、プロジェクト管理、大中小規模工事、MAC、家具・什器納入、移転マネジメント、外注業者管理、調達マネジメント

●施設運営維持管理
清掃、メンテナンス、空気質・空調、照度・音環境、設備管理業務、建物・設備保全業務、環境衛生管理業務、エネルギー管理、セキュリティー管理、防火・防災・BCP、植栽管理、廃棄物・リサイクル、日常点検

●オフィスサービス
受付、メールサービス、印刷/コピーサービス、AV・OA機器管理、ドキュメント管理、会議室サービス、備品購入、カフェテリア、自動販売機管理、駐車場管理、福利厚生サービス、オフィスコンシェルジュ

 さらに、視点を変えると、総務は社内と社外の2つの顔を持ちます。社内に対してはビジネスパートナーもしくはオフィスサービス提供者として、社外に対してはプロの発注者として関係者と対峙(たいじ)するファシリティマネージャー(FM)です。FMの視点から仕事内容を切り分けると、総務の役割は「戦略」「管理」「日常オペレーション」の3つに分類できます。

 総務部の現場からは、「管理・運営で手いっぱい」「戦略まで手が回らない」などといった誠実な声が聞こえてきます。しかし、総務が目の前のことに追われて会社の状態をそのまま放置すれば、数年後に自社は、立ち位置や方向性を見失うことになりかねません。今、総務には「戦略」が求められています。