コロナ禍のEC需要が時期早める

 専門家はこれまで、マーケットプレイスを含めたアマゾンの小売規模が数年後にウォルマートを上回ると予想していた。だが新型コロナによるEC需要の拡大がその時期を早めた。

 ウォルマートは1年間に売上高を240億ドル伸ばした。これに対しアマゾンはほぼ同じ期間にGMVを約2000億ドル伸ばした。アマゾンは2020年に世界で50万人を新規採用し、数百カ所の物流拠点を新設するなど、急速に事業を拡大している。

米小売市場の栄枯盛衰 A&P、シアーズ、ウォルマート

 米国の小売り市場は、過去1世紀にわたりトップ企業の交代を繰り返してきたとニューヨーク・タイムズは報じている。1940年代にナンバー1だったのは、食品スーパーのグレート・アトランティック・アンド・パシフィック・ティー(通称A&P)。1960年代前半になるとシアーズがA&Pを抜いて首位に浮上。そして1990年代にウォルマートがシアーズを抜いた。

 ウォルマートの創業は1962年。同社はシアーズの絶好機に誕生した。これと同じようにジェフ・ベゾス氏は、ウォルマートが王者だった1990年代前半にアマゾンを設立した。

 ウォルマートは実店舗の拡大と食料雑貨の小売事業でビジネスを発展させた。そして2021年。アマゾンはECというこれまでと異なる方法でウォルマートを抜いた。米調査会社のイーマーケターによると、米国の小売販売に占めるECの割合は約14%。アマゾンの米EC市場におけるシェアは41%。ウォルマートは7%にとどまる。

 ウォルマートは160万人の従業員を抱え、依然、米最大の雇用主(アマゾンの従業員数は約130万人)。ウォルマートは米国内販売も依然トップだ。だが、アマゾンは2022年に、米国内においてもウォルマートを上回ると米JPモルガン・チェースは予測している。

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(小久保 重信)