平本氏が考える自治体DXのポイント

 平本氏は自治体DXを実現するための10カ条と、そのポイントを次のように整理する。

①バリューを考えよう:「デジタル化の予算はコストではなく投資。まずはデジタル化で何かしらの効果を得て、その効果を次のデジタル化につなげていきましょう。そのために『デジタル化で生み出されるバリュー(価値)が誰のためのものか』『何がバリューになるのか』を考える必要があります」

②デジタル化以前の問題を考えよう:「デジタル化ありきで物事を考えるのではなく、『その行政手続きは本当に必要なのか』とった具合に、デジタル化の以前にある根本的な問題・課題が何なのか、突き詰めて考える必要があります」

③デジタル敗戦の思想から脱却しよう:「過度なセキュリティー対策やプライバシー対策など、『危ないからやらない』という思想は自治体DXを萎縮させます。職員・市民を含めた、まちの関係者が前向きに挑戦できる、そんなマインドセットを育みましょう」

④世界を見て、新技術で妄想しよう:「国内外には自治体DXの先進事例がたくさんあります。インターネットで先進事例を知り、学び、まねをしながら吸収しましょう。新しい技術を知る癖をつければ、やがて『この技術は何に使えるだろう?』と考えるようになります。その妄想力が自治体DXの原動力となるはずです」

⑤街ぐるみのチーム力をつけよう:「自治体DXは対象範囲が非常に広く、自治体単独では決して実現できません。さまざまな領域に精通した関係者の協働が不可欠です。自治体内の人材確保や人材評価の仕組みを構築するとともに、市民を含む関係者がおのおのの能力を発揮できるコミュニティーづくりにも注力しましょう」

⑥DXの環境を整備しよう:「DXには何よりもデータが不可欠です。そろえておいて損はありません。DX実現に必要なツールも、今は比較的安価に購入でき、導入コストを回収する削減効果もすぐに生まれます。積極的に投資しましょう」

⑦自前主義ははやらない:「全て自前でやるのは、DXの世界のはやりではありません。よそに良い事例があるのならばパッケージごと導入してもOKです。しかし、そのためにはデータやインターフェースを標準化しておく必要があります」

⑧ロードマップとスモールサクセス:「変革への取り組みに対して皆さんの理解を得るためにも、スモールサクセスを実現し応援団(理解者、協力者)をつくり、ロードマップ策定で中長期計画を示すとよいでしょう。多様な人たちから意見も集まりやすくなります」

⑨定着させる、持続させる:「自治体DXは定着・持続が重要ですが、仮に異動や担当者変更があった場合、後任者に理解されないことが多くあります。せっかく進めてきた自治体DXの取り組みが引き継ぎによって元に戻ってしまうなんて、こんな悲しいことはありません。引き継ぎでは、単なる業務的引き継ぎではなく、バリューや心意気を共有しましょう」

 ここまで整理した後、平本氏はさらにこう続けた。

「もう1つ、自治体DXを成功に導くポイントを提示するとするならば、『⑩発想と行動を変えよう』です。

 経済産業省DXオフィスにある自治体DX推進会議事務局では、『自治体DX行動プラン』を作成しました。自治体DXを進めるためには、ここに挙げたように、発想と行動を変えて『みんなでシェアする』ことが大切です。今後もさまざまな情報をみんなシェアしながら取り組んでいきます」


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(平本 健二)