3つのチャネルのコミュニケーションを整備

 コープさっぽろでは、紙ベースの資料+会議で進められてきた従来型のビジネスコミュニケーションにおいて、次の3つのチャンネルを整備した。

・口頭(Google Meetなどの導入により柔軟性向上)
・チャット(Slackの導入)
・オンラインドキュメントコミュニケーション(Googleドキュメントの導入)

 これにより日常のコミュニケーションが円滑になり、不要な会議を減らすことが可能に。また、会議を行う場合もウェブ会議とすることで一室に集まる手間を省いたり、会議と同時並行で資料をアップデートしたり、Slackでコミュニケーションを取ったりすることで、効率を高めた。

「従来は会議後に作成していた議事録の業務も効率化しました。コープさっぽろでは議題となる資料に議事録の担当者が会議と同時進行で、直接、議論を書いてアップデートします。会議が終わるころには草案が出来上がっています」

 あとは体裁を整えてドキュメントをネットワーク上でシェアしてしまえば、議事録の対応は完了する。こうして格段に生産性が高まっていった。


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 資料作成もDXの推進により効率化を実現。従来は上司の指示のもと資料作成に着手すると、ドラフトが出来上がるまで上司と作成者の間でのコミュニケーションがなかったため、その間に方針が変化したり、上司の意図した資料になっていなかったりして、しばしば上司のレビュー段階で手戻りが発生。完成までに余分な手間と時間がかかることが少なくなかった。

 そこでコープさっぽろでは、資料作成のプロセスについても次のようなやり方で効率を高めた。

・オンライン上でリアルタイムでシェアが可能なドキュメントリンクを発行。上司はリアルタイムで資料をチェック
・方針の変更や情報のアップデートはSlackを通じてシェア

「Slack上でドキュメントをシェアできる仕組みをつくることで、日々、少しずつコミュニケーションを取りながら資料作成を進めることが可能になりました」と長谷川氏は語る。

本部と店舗を変えたコープさっぽろのDX事例

 DXによって効率化に成功したコープさっぽろの本部と現場それぞれの取り組みについて、長谷川氏は次のように説明する。

 まずは、システム投資委員会の様子だ。かつてはエクセル資料をプリントアウトし、対面での会議で配布して議論が進められていた。これを同社では、2つのステップで改善した。


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「ステップ1では、まずエクセル管理と紙印刷や対面形式の会議を廃止。GoogleドキュメントをSlackなどでシェアして、従来の資料の配布の代替としました。対面での会議はウェブ会議主体に代えました」

 さらにステップ2では、議題や議事を管理するためのGoogleドキュメントを廃止。資料のリンクをSlackでシェアし、承認・非承認の議論をSlack上で展開することにした。

「Slack上で議論が完結し、ウェブ会議すら不要となるケースも多くなりました。どうしても会話が必要な場合にのみ、ウェブ会議を設定するというプロセスになったのです」

 販売の現場でもDXの効果が表れている。これは通称コープさっぽろの「唐揚げ事件」と呼ばれているものだ。ある日、唐揚げのあるロットの原材料に配合の不具合があり、揚げると真っ黒になることが判明。全店のデリカ部門で唐揚げが用意できなくなる事態になりそうになった。

「従来であれば各地域のスーパーバイザーが108ある各店舗に向けて、唐揚げを出せないことを電話で伝えなければなりませんでした。電話を介するコミュニケーションであることと、バイヤー・スーパーバイザー・各店舗という縦の構造がそうした非効率を生んでいたわけです」


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 このとき、コープさっぽろではSlackを活用。電話連絡の代わりにSlackで、この問題を伝えたところ、店舗から「原材料を回収しました!」との連絡が次々と入り、同時に配送していた新たな原材料についても「来ました!」と店舗から連絡が入り、無事、唐揚げを販売できたのだった。

 この後、コープさっぽろではSlackにデリカ部門の専門チャンネルを設置。惣菜関連の一斉連絡や、原材料の在庫に関する問い合わせ、要望などの連絡ツールとして活用している。

「店舗、スーパーバイザーとバイヤーが並行で、Slack上でコミュニケーションを取ることで、以前よりはるかに効率的かつスピーディーな連携が可能になりました。遠隔地に拠点が多数あるコープさっぽろのようなところでは、Slackを導入する効果は非常に大きいと考えています」