2021年9月、中国は国内での暗号資産取引に関し、再び厳しい姿勢を打ち出した。この背景などについて、暗号資産や中国の金融規制に詳しい元日銀局長の山岡浩巳氏が解説する。連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第56回。

 2021年9月、中国当局は暗号資産(仮想通貨)に対し、厳しい方針で臨むことを表明しました。この方針については、中国のデジタル人民元(第6回参照)とも絡めた報道もあり、注目を集めています。そこで、この方針の内容や、中国の現在の政策スタンスとの関わりについて解説したいと思います。

中国と暗号資産(仮想通貨)との関わり

 もともと中国は、ビットコインの取引やマイニング(採掘、ビットコイン取引の検証を通じて新たなビットコインを獲得しようとする行為)においても、世界で圧倒的なシェアを占めていました。これは、ビットコイン投資への中国の人々の高い関心や、大量の電力を消費するマイニングを行う上で、中国、とりわけ内陸部の電力料金の安さが魅力であったことを反映したものです。

 2017年、暗号資産(仮想通貨)への投機熱が内外で高まる中、中国は暗号資産への規制を強化し、国内での暗号資産の取引所での取引を禁止しました。これを受け、世界最大の暗号資産取引所を運営していたバイナンス社は拠点を中国の外に移すなどの動きを進め、中国での暗号資産取引やマイニングも減少しました。

 しかし、基本的に国境の制約を受けずにインターネット上でやり取りされる暗号資産の取引を完全に止めることは、インターネットそのものを遮断しない限り困難です。実際、外国の取引所を経由しての暗号資産取引やマイニングは、ある程度行われ続けました。