新型コロナの感染拡大が災いして上海市などの都市封鎖が長引いており、景気減速による原油需要の減少を意識した売りがこのところ目立ってきている。

 中国の4月の原油需要は前年に比べて日量120万バレル減少した。コロナ禍初期以来の大幅な落ち込みとなったが、通年の原油需要もマイナスに転じるとの予測が出ている。

 このように、ロシア産原油の供給懸念よりも中国の原油需要の減退懸念が勝るようになれば、原油価格は今後しばらくの間は下落するだろうが、長期的には高止まりすると言わざるを得ない。

中東で下がり続ける米国のプレゼンス

 原油先物市場で5年先の期先は昨年10月末時点に比べ10ドル近く上昇している。

 世界の原油開発分野で5年以上にわたり極端な投資不足となっており、供給量が一層減少することが確実視されているのに対し、新興国を中心に世界の原油需要は簡単には減りそうもないと見込まれているからだ。

 今後世界の原油供給での役割がますます高まる中東地域で米国のプレゼンスが下がり続けており、中でも中東地域における米国の最大の同盟国であるサウジアラビアとの関係が冷え込んでいることが気がかりだ。

 5月5日付ウォール・ストリート・ジャーナルは「ウクライナ危機以降、過去最悪となったサウジアラビアとの関係を修復するため、バーンズCIA長官が4月中旬にサウジアラビアを訪問した」と報じた。米国有数のロシア通であるバーンズ氏がこのタイミングでサウジアラビアに派遣されるのは異常事態だと言っても過言ではない。

 原油の中東依存が極めて高い日本にとって、ロシア以上に要注意なのは中東情勢なのではないだろうか。

(藤 和彦)