これがその後の業績に大きく響いた。同社の22年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比同7%増の1164億4400万ドル(約16兆8400億円)。1〜3月期として過去最高を更新したものの、伸び率は過去10年間で最も低い水準となった。直営EC事業の売上高は511億2900万ドル(約7兆3900億円)と同3%減少した。純損益は38億4400万ドル(約5600億円)の赤字で、15年1〜3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落した。続く22年4〜6月期も20億2800万ドル(約2900億円)の赤字で、2四半期連続で最終赤字となった。

 アマゾンは人員調整も進めてきた。新規採用を抑制することで、自然減による人員減少を促している。22年3月末時点で162万2000人だった世界従業員数(期間従業員を除く)は、22年6月末時点で152万3000人となり、3カ月間で10万人近く減少した。

 余剰倉庫施設の削減も進めている。カナダのサプライチェーン・物流コンサルティング会社MWPVLインターナショナルによると、アマゾンは今年、発送センターや宅配ステーションなど計60以上の施設について、閉鎖したり、新設計画を中止・延期したりしている。

重要分野に集中投資

 ただ、こうした中でも同社は大規模物流施設の建設プロジェクトを推進中だ。コスト削減を進めながらも、中核となる重要施設には投資を続けている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは、今回の賃上げも同様の施策だと報じている。給与上昇に加え、福利厚生を拡充することで、重要な年末商戦時の人員確保を狙っているという。

 アマゾンは22年9月、配送ドライバーの待遇改善のために今後1年間に米国で4億5000万ドル(約650億円)を投じると明らかにした。

 同社が支援する「デリバリー・サービス・パートナー」と呼ぶ中小配送業者のドライバーを対象に、大学の学位などを取得できる教育プログラムや年金制度を提供する。前者では、1人当たり最大で年間5250ドル(約76万円)を支援する。

 今回も、時給アップに加えて、教育プログラムを用意すると明らかにした。時間給従業員を対象に実施している「キャリアチョイス(職業選択)」プログラムの一環として、新たにアマゾン傘下のクラウドサービス事業、アマゾン・ウェブ・サービスのエンジニア職に就くためのキャリア向上プログラムを用意する。

 (参考・関連記事)「アマゾン、緊縮中も物流施設巨大プロジェクト推進へ | JDIR」

(小久保 重信)