米アップルが新型スマートフォン「iPhone 14」シリーズの年内生産台数を当初計画から少なくとも300万台減らす見込みだと、ブルームバーグ通信が11月7日に報じた。

普及モデル「iPhone 14」と「14 Plus」需要減

 現在、アップルとサプライヤーはiPhone 14シリーズの年内生産目標を最大8700万台としている。当初計画は9000万台だったと事情に詳しい関係者は話している。主な理由は普及モデルの「iPhone 14」と「同14 Plus」に対する需要の減少だという。

 米金融大手ジェフリーズの分析によると、iPhone 14と同14 Plusの販売は急速に落ち込んでおり、世界最大のスマホ市場である中国では減速が激しくなっているという。

上位モデル「14 Pro」と「Pro Max」供給減

 一方で上位モデルの「iPhone 14 Pro」と「同Pro Max」は好調のようだ。アップルは11月6日に声明を出し、iPhone 14 Proと同Pro Maxに対する需要は引き続き旺盛だと述べた。

 ただし、これら上位モデルの出荷台数は「当初の予想を下回る見込みだ」と明らかにした。中国政府の厳格な「ゼロコロナ政策」により、同国鄭州市にある組立工場で一時的に影響があったという。同社は上位モデルについて「顧客の手元に届くまでの待ち時間が長くなることが予想される」と説明した。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルなどの米メディアによると影響が出ているのは、iPhoneの製造を請け負う、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の鄭州工場。

 これに先立つ10月31日、ウォール・ストリート・ジャーナルやロイターは、厳しい行動制限によって工場の稼働が大幅に低下していると報じた。数十万人の従業員を抱える同工場では、多くが近隣の宿舎に住んでいる。工場は、中国政府の厳格なゼロコロナ政策の下、従業員が宿舎と工場間のみを移動できる「クローズドループ」操業を行うという条件で営業が許可されている。しかし、その管理体制に不満を持ったり、感染を恐れたりする従業員が仕事に戻ることを拒否。施設を脱出する従業員も現れるなど混乱が生じた。

10〜12月期業績に影響か

 香港のカウンターポイント・リサーチによれば、鴻海の鄭州工場では、iPhone 14普及モデルの80%以上を、同上位モデルの85%を製造することになっている。

 今回の供給遅れは、これまでサプライチェーン(供給網)の混乱をほぼ回避できていたアップルにとってコロナ禍における最大の打撃になる可能性があると、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 アップルは声明で、「全工員の健康と安全を確保しながら、通常の生産水準に戻すための緊密な連携を、サプライヤーと取り続けていく」と説明した。

 鴻海は「パンデミック(世界的大流行)を食い止めるため政府と協力しており、できるだけ早くフル稼働に戻せるよう努力している」と述べた。同社は、22年10〜12月期の業績見通しを下方修正することも明らかにした。鴻海はこれまで22年10〜12月期について、慎重ながらも楽観視していると説明していた。

(小久保 重信)