米アップルからスマートフォン「iPhone」の製造を請け負う、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の中国・鄭州工場(河南省鄭州市)で従業員の大規模な抗議活動が起きたと、ロイター通信や米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが11月23日に報じた。

手当や衛生環境の不備が原因か

 数百人の従業員が抗議に参加した。従業員のチャットグループで広まった動画には、屋外のテントが引き倒され、ガラスの建物入り口ドアが破壊されている様子が映っている。十数人の警察官と工場の警備員とみられる白い防護服を着た男たちが従業員を繰り返し殴ったり、警棒でたたいたりしている。

 抗議活動は、人員補充のために新たに雇った新人工員に対する手当の支払いや工場内の衛生環境の不備などを巡って起きたとみられている。ロイターによると、鴻海はiPhoneにとって最大の電子機器受託製造サービス(EMS)企業。世界のiPhone出荷台数の70%を生産しており、これが鴻海の売上高の45%を占めている。混乱が工場の稼働状況に影響を及ぼしているとみられ、年末商戦時のiPhoneの供給・販売にも影響が出そうだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、鴻海は「手当に関する契約上の義務を常に履行しており、事件の再発を防ぐために従業員や政府と連絡を取り合う」と述べた。

宿舎と工場内に隔離する「クローズドループ」操業

 従業員20万人超を抱える鴻海の鄭州工場では、多くが近隣の宿舎に住んでいる。同工場は、新型コロナウイルスを封じ込める中国政府の「ゼロコロナ政策」の下、従業員が宿舎と工場間のみを移動できる「クローズドループ」操業を行うという条件で営業が許可されている。

 同工場では22年10月下旬、新型コロナの感染者が確認され、外出を禁止された従業員たちが集団で脱出する事態に陥った。工場では人員補充のために新人工員を募集した。これを受け、河南省当局は退役兵と公務員に対し、同工場での一時的な勤務を呼びかけるなど人員補充の支援に乗り出した。ロイターによると今回の混乱は、こうして新たに雇った新人工員が引き起こしたという。