2022年も師走を迎えた。いまだに新型コロナウイルス感染症が収束する気配はないものの、経済活動が再開し、旅行業界や航空業界も活況を見せはじめている。航空業界の動向の特徴は、これまでの損失を取り戻し、コロナ禍の下で旅行を我慢していた人々の旅行願望熱に乗っかって、運賃の値上げと客層に合わせた運賃体系の見直しが進んでいることだ。利用者にとって、今はいわゆる県民割などで一部の公的補助があるとはいえ、運賃値上げは、海外旅行願望に水を差すものであろう。今後の状況しだいでは、米欧など遠距離の旅行は、再び庶民にとって高根の花となりかねない。

(杉江 弘:航空評論家、元日本航空機長)

JALは来年4月から新しい運賃制度に移行

 日本航空(JAL)は、2023年4月12日搭乗分から新運賃制度を採用することを明らかにしている。新たな制度では、現在の9種類ある主要な運賃を3種類に集約するというものである。

 具体的には、予約変更が柔軟にでき、搭乗日当日の購入も可能な「フレックス」、搭乗日の1日前まで購入できる「セイバー」、28日前まで購入できる「スペシャルセイバー」の3種類だ。さらに、上級座席の料金設定を変え、需要に応じて柔軟に価格を設定できるようにするほか、マイルを使う特典航空券の取得には混雑状況に応じた変動制を取り入れる。

 コロナ後を見据え、久々に変わろうとする運賃体系を理解する上で、航空運賃とはどのようにして決められるのか、そして運賃を構成する中身はいったい何か。年末年始という空の便を使う人が増える時期を前に簡単にレビューを加えてみたい。

各種割引運賃が導入されてきた経緯

 戦後、日本の民間航空再開は1952年にGHQによって認められ、1953年にJALが東京〜大阪、福岡、札幌の間で事業としてスタートした。

 そして、今ではごく当たり前になった海外への渡航は、1964年の海外旅行の自由化によって実現した。それまでは、観光目的ではどこにも行けなかったのである。ちなみに、当時海外に行くためには、預金残高証明が必要で、外貨の持ち出しは500米ドルが上限であった。