米アマゾン・ドット・コムによる米映画制作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の買収交渉が最終段階に近づいていると、米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが5月24日に報じた。

プライム会員向け動画を拡充

 MGMは人気スパイ映画の「007」や、シルベスター・スタローン主演の「ロッキー」、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「ターミネーター」などで知られる。

 関係者によると、買収価格は約90億ドル(約9800億円)。土壇場で交渉が決裂することがなければ、週内にも発表される可能性があるとしている。

 合意に達すれば、アマゾンにとって2017年に137億ドル(約1兆5000億円)で傘下に収めた米高級スーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」に次ぐ、過去2番目の大規模M&A(合併・買収)になる。

 アマゾンはエンターテインメント事業の強化を図っている。20年はプライム会員向け動画・音楽コンテンツの制作・配信に110億ドル(約1兆2000億円)を投じた。この投資額は19年の78億ドルから4割増。先ごろは米プロアメリカンフットボールNFLと、木曜夜に開催される「サーズデーナイトフットボール」(TNF)を独占配信する契約を結んだ。こちらの権利料は年10億ドルとみられている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、現在アマゾンは、映画「ロード・オブ・ザ・リング」をベースにしたテレビドラマシリーズを制作中。そのシーズン1の制作費は4億6500万ドルだという。

 また、パラマウント・ピクチャーズの「トゥモロー・ウォー」など、新型コロナの影響で劇場公開が断念された映画の配信権獲得に数億ドルを投じている。ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントとも動画配信に関して積極的に協議を進めていたが、ソニーは最終的に米動画配信大手ネットフリックスと複数年契約を締結した。

コロナ禍で動画配信の加入者、11億人突破

 映画業界はコロナ禍で劇場公開の延期を余儀なくされるなど打撃を受けた。一方、巣ごもり消費の拡大で動画配信は急成長した。米映画協会(MPA)によると、20年における世界の動画配信サービス加入者数は11億人となり、過去最高を更新した。ロックダウン(都市封鎖)の影響で人々は家庭内のエンターテインメントを求めたという。

 その一方で20年の映画興行収入は前年から300億ドル(約3兆2600億円)以上減少し120億ドル(約1兆3000億円)にとどまった。19年は過去最高の423億ドルを記録していたという。