世の「シタ夫」たち、覚悟せよ

「シタ夫」がこんなにちくちくやり込められるなんて、きっと脚本を書いたのは女性だろうと思っていたら、監督・堀江貴大によるオリジナルだった。結婚したタイミングで、夫婦を題材にした作品に興味を持ち、「不倫=ドロドロしたものという印象が強いが自分が手掛けるなら、シリアスだがコメディ色もある不倫ものを描きたい」と思ったのだとか。

 確かに実際に結婚していないと描けない夫婦の実情がてんこ盛り。そして、俊夫の「自分はさておき、妻には不倫してほしくない」という心理がまた男性らしくて笑わせる。ちなみに「シタ妻」の場合、夫の不倫が発覚したら、気楽になるだけで逆効果であろう。

 もしかしたら自分は捨てられるのかもしれない。「サレ妻」「シタ夫」ともに不安と危機感を抱えながら、ストーリーは思いもよらない、感動的かつ刺激的過ぎるエンディングへ。

 いつからか、どちらからか。妻の変化に夫は気にも留めず、妻はおしゃれすることも忘れていた。互いに失われた相手への配慮、リスペクト。近すぎて見えなくなっていた相手の存在。伝えなかった思い。足りなかった言葉・・・。

 何度見ても爆笑、そしてじんわり涙。不倫ものでありながら、夫婦の本音がいっぱい詰まったラブストーリー。それでも夫婦で観に行くことはあまりお勧めしない。

 世の「サレ妻」よ、この作品を観て、復讐のプランを立てよう。「シタ夫」たちは首を洗って、待っておけ。

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』

9月10日(金)より新宿ピカデリー他全国公開

黒木華 柄本佑/金子大地 奈緒/風吹ジュン

脚本・監督:堀江貴大

劇中漫画:アラタアキ 鳥飼茜

配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2021『先生、私の隣に座っていただけませんか?』製作委員会

2021/日本/119分/5.1ch/ヨーロピアン ・ ビスタ/カラー/デジタル
※映倫区分は「G」となります

公式サイト:https://www.phantom film.com/watatona/
公式Twitter・Instagram:@watatona_2021

(髙山 亜紀)