上原浩治の象徴だった「自主トレーニング」

「負けたくないっていう反骨心、それだけです」

 引退会見で、上原浩治は21年間にわたるプロ生活の原動力についてそう言い切った。

 反骨心の塊。

 出会ったことがある人はみな、そう言うのではないだろうか。

 上原浩治と聞いて思い浮かぶシーンはいくつもある。躍動感あふれる投球フォーム、ワールドシリーズを制し指を天に向けた瞬間、敬遠をしたあと目元をぬぐう姿、手が持っていかれそうなくらい力強い「ハイファイブ」・・・。

 ただ彼の言う原動力――「反骨心」を体現したものと言えば「自主トレの中の上原浩治」だったと思う。

 キャンプインを控えたシーズン前に、体を作っていく「自主トレ」。最近では、所属チームに関係なく多くの選手が集まって行うことも多いし、その場所もハワイなど体の動きやすい暖かい場所だったりする。

 しかし、上原の「自主トレ」は決まって関東で、ほとんどの場合プロ選手は彼ひとりだった(ここ数年は、上原を慕った選手が1、2名一緒になることもあったが・・・)。

 寒い中、きついトレーニングを黙々とこなしていく上原。あまりのトレーニング量に、ついには大の字になり倒れこんだこともある。

 練習後、聞いてみた。「なぜひとりで行うのですか?」

 たくさんの人と、暖かい場所でやったほうが「きつい練習を少しでも楽しみながらできるのではないか?」そう思ったのだ。

「メジャーに関して言えば自主トレを集まってする選手はいないですよ。イチローさんとか青木宣親もそうですよね。基本的にはひとりでやるのが自主トレじゃないですか。僕もずっとひとりではないですけど・・・少ない方がいいですね」

「なぜですか?」質問を重ねると、ちょっと思案して言った。