グレープフルーツが「庶民のフルーツ」となったのは、1971年に輸入が自由化されてからだ。米国からグレープフルーツがたくさん輸入され、値段も安くなった。

 人々の憧れだったグレープフルーツは酸っぱく、また少し苦かった。そこで半分に切って、たっぷり砂糖をかけ、専用のナイフやギザギザのスプーンで皮から果実をすくいながら食べた。そのころは、どこの家にもギザギザのナイフやスプーンがあったものだ。

 そういえば、イチゴも専用スプーンでつぶして、砂糖と牛乳をかけて食べるのが普通だった。そんな食べ方をしなくなったのは、イチゴもグレープフルーツも以前では考えられないくらい甘くなったからである。

 果汁も輸入されるようになると、グレープフルーツのジュースが出回り、グレープフルーツ味のアイスやガムなどさまざまなものが売り出された。1980年代には、グレープフルーツのゼリーが爆発的にヒットした。こうして、昭和時代にグレープフルーツは食生活に入り込み、確固たる地位を築いたのだ。

実物と名前が一致しない若者も

 ところが近年、グレープフルーツ離れが起きているのは先に述べたとおりだ。テレビや新聞のニュースにも取り上げられ、インターネット上でもさまざまな意見が出ている。実際の果物を見せられて名前を知らない若者がいるというのに驚いた人も多かった。

 食べなくなった理由も数々挙げられている。「皮をむくのが面倒」「1個が大きいから食べきれない」「値段が高い」といったものだ。ただし、これはほかの果物も同様でグレープフルーツに限ったことではない。

 グレープフルーツに含まれるフラノクマリンは、高血圧の薬(降圧剤)と相互作用するため、その薬を飲んでいる人は食べることができない。この点が消費に影響しているかもしれない。だが、若者で降圧剤を飲む人が増えたといった話はないから、若者のグレープフルーツ離れにはあまり影響しそうもない。ただ、親が食べさせなければ子どもも食べなくなるということはあるだろうが。

 甘くなったとはいえ、グレープフルーツには酸味や苦味もある。これらの風味がいまの若者に好まれなくなったという考察もある。ほかにも甘くておいしいデザートがたくさんあれば、あえてグレープフルーツを買うこともなくなるだろう。