大型商業施設が撤退し空き家となった建物が全国で次々と生まれている。そこを市の公立図書館と民間のテナントを共存させた「小さな街」として生まれ変わらせたのが、静岡県牧之原市で始まった「牧之原図書交流館プロジェクト」だ。プロジェクトの全体統括および設計に携わった株式会社スターパイロッツ代表の三浦丈典氏に、株式会社Public dots & Companyの伊藤大貴氏がインタビューした。(JBpress)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「「新しい公共空間」としての図書館の在り方(1)(2)」を再構成したものです。

(三浦丈典:株式会社スターパイロッツ代表)
(伊藤大貴:株式会社Public dots & Company代表取締役)

「絶対につぶれない」。そう思われてきた地域のアイコン的商業施設が、今、全国で次々と空き家化しています。行政側では1980年代から「箱物問題」が議論されてきましたが、ここ数年は民間側でも大規模建造物(大箱)の維持や活用について真剣に考えざるを得なくなってきました。

 そんな状況の中、静岡県牧之原市で始まった「牧之原図書交流館プロジェクト」は、空き家化した民間の大箱に市の公立図書館と民間のテナントを共存させ、市民にとっての「小さな街」をつくる官民共創型のプロジェクトです。

 組織風土や経営観が異なる官と民を、どのように融和させ、一つの共有空間を成立させていったのか? このプロジェクトの全体統括および設計に携わった株式会社スターパイロッツ代表の三浦丈典氏にインタビューした内容をお届けします。

大型店舗が空き家化する「大箱問題」

伊藤 まず、多くの地方都市が抱える「大箱(大型店舗の空き家化)問題」について、詳しくお話しいただけますか?

三浦氏 2010年ごろからリーマン・ショックの影響が街に現れ始めて、駅前のビルなど大型店舗がつぶれる時代になりました。最近では毎週一つか二つのペースで、全国のどこかのデパートがなくなっていますし、電通ですら本社ビルの売却を検討しています。そんな「箱が丸ごと空いてしまう」状況が、ここ2〜3年で急激に進んできています。

 いわゆる郊外型の大箱は、坪単価も施工費も安いので建てるときは簡単です。だから今まで場所を選ばずどんどん建てられてきましたが、中に入っているテナントが撤退したら、次に入るテナントがいない。維持費や解体費もままならない。大きな廃虚が街の風景として残ってしまっている。こんな状況が今、全国各地に見られます。

 これら大型店舗の空き家化にまつわる一連の問題を私は「BIG BOX(大箱)問題」と呼んでいます。

伊藤 大箱は最初に造るときの投資が小さくて済む一方で、維持費の問題は深刻そうですよね。

三浦氏 社会資本投資額は2000年をピークに減ってきていて、リーマン・ショック後の2010年ごろさらに大きく下がっています。仮にこの低い投資額がこの先ずっと続いたとしても、2035年には既存インフラの維持費だけでマイナスになってしまう計算なんですね。新しい道路やトンネルや建物を造らなくても、赤字になります(図1)。

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