(3)オンデマンド再生型(YouTube型)授業の場合、動画ファイルや音声ファイルを自分のペースで再生できるので、対面授業よりも理解を深めることができる。まどろっこしい箇所は早送りし、1回でわからなかった箇所は繰り返し再生することで、効率よく授業内容を理解できる。

 まじめな学生からのコメントです。こういう「王道コメント」に接すると、われわれ教える側の人間はホッとします。

 大学のリモート授業は「オンデマンド再生型(YouTube型)」と「実況生中継型」の2つに大別され、各教員の好みで行われます。オンデマンド再生型授業は、学生が好きなタイミングで受講でき、何度も繰り返し再生ができます。

 2012年ごろ、MOOC(Massive Open Online Courses:大規模公開オンライン講座)がアメリカや日本の一部でブームになった時に言われたメリットがこれです。

 付言すれば、オンデマンド再生型授業のメリットは、学生が個々のペースで学習できることに加え、「多くの学生が早送りした箇所」や「多くの学生がつまずいて繰り返し再生した箇所」を教える側が統計的に把握し、その授業コンテンツを改善できる点にあります。教員側で、早送りが多数発生した箇所は簡潔な表現に修正する一方、繰り返し再生が多発した箇所は丁寧でわかりやすい説明を追加挿入するなどして、オンライン・コンテンツをより良いものにしていくということです。

 もっとも、こういった学生の利用状況からのフィードバックデータを技術的に処理できるネットインフラが整備された大学は、日本ではまだ少数と思われますが・・・。

 大学教員としてもっと欲張ったことを言うと、こういった「自分のペースで勉強したい」学生には、本(特に専門書)を使っての独学に挑んでくれる可能性を感じます。

 読み飛ばしたり読み返したりが自由自在にできる「本」こそが、自分のペースで学ぶことができる究極の教材です。書籍離れを言われて久しい学生たちの一部にでも、書物で勉強するモチベーションを与えたいな、と思います。人生100年時代を生きていく学生諸君が、自分の将来を切り開くべく大学卒業後も学びを継続するよう、背中を押してあげたいというのが私の思いです。

(4)授業中に出された課題に主体的に取り組める。他の学生が何をやっているのか気にならないし、相談し合うこともできないので。

 最近の学生は他の学生(同級生)の状況(レポートの進捗状況にしても就活状況にしても)をやたらと気にするんだな、とは以前から感じていました。横並び教育を受けてきたからなのか、はたまた自分自身への集中力が足りないからなのかはわかりません。

 が、こうした学生たちにとって、「ひとりぼっちの環境」はむしろプラスなのだと気づかされ、個人的には少し寂しい気持ちもします。

 と同時に、リモート授業であっても従来型の対面授業であっても、自分(教員)と多数の受講生の関係は同じ「1対多」の関係だ、という私自身のとらえ方は間違いであり、その「多」の中の個々の学生間に「仕切り板」が入り込んできた点が、ウィズ・コロナのリモート授業における関係性の特徴なのだと認識させられました。

 そういえば、馴染みのラーメン屋の親父さんが、営業再開にあたって飛沫感染防止のため、座席の間に「仕切り板」を入れることになり、「これじゃ一蘭だねえ」と言っていました(意味が分からない方は「天然とんこつラーメン専門店一蘭」を検索してください)。

(5)学生同士の私語が発生しないので、授業が円滑に進む。

「私語」は授業進行の妨害要因のひとつです。私はビフォー・コロナの対面授業では、私語をしている学生は厳しく説諭のうえ教室から退出させていました。まじめな学生にとって、他の学生の私語が迷惑であることを再認識しました。「仕切り板」が学生間に入り込んだリモート授業では、学生間の私語は物理的に成立しようがありませんので、この点ではめでたしめでたし、ということでしょうか。