しかし、こうした視覚情報が切り捨てられたリモートでの実況中継型授業のほうが集中できる、という学生からのコメントは、私の身振り手振りは「空回り」だった可能性を示しています。(注:実況中継型授業では、画像としては講義資料を映しており、情報の送り手=教員の姿は映していません。)

 後講釈になってしまいますが、研究会やセミナーにおける情報の受け手(聴講者)としての私は、講演者の大げさなアクションをうるさく感じていましたし、最近のウェブセミナー(Webinar)のように資料を見ながら講演者の声だけを聴いている時のほうが、話の内容が頭に入りやすいと感じています。

 大げさなボディランゲージはアメリカの専売特許であり、東海林太郎が直立不動で歌う「赤城の子守唄」に私たち日本人が魂を揺さぶられていたのはつい50年ほど前のことです。

 メラビアンや東海林太郎は横に置くとして、情報の送り手としての私自身はリモート授業を機に、言葉自体が持つ力を再認識し、授業では平易で簡潔な言葉・表現を選び、わかりやすい話し方をすることに注力したいと思います。

 以上が、「リモート授業へのポジティブ評価」です。

 これに対して、ネガティブ評価にはどのようなものがあったのでしょうか? 学生は、トータル的に対面授業とリモート授業のどちらに軍配を上げたのでしょうか? その結果をわれわれ大学関係者はどうとらえればいいのでしょうか? ・・・次回綴りたいと思います。

(*)大学と一口に言っても、実験や実習が欠かせない工学系・医薬系や、実技が不可欠の体育系・芸術系、また人文科学系でもフィールドワークが必須の分野など、事情は様々です。本稿は、講義とゼミナールを主軸に置く人文科学系の教員から見たものとご理解ください(筆者:渡邊 隆彦)。

◎渡邊隆彦(わたなべ・たかひこ)
専修大学商学部 准教授。1986年東京大学工学部計数工学科卒、92年MIT経営大学院修了。三菱UFJ銀行(現)にてプロジェクトファイナンス、デリバティブ開発・トレーディング、金融制度改革、投資銀行戦略、シンジケートローン業務企画、IFRS移行プロジェクト等を担当後、三菱UFJフィナンシャル・グループ コンプライアンス統括部長、国際企画部部長を歴任。2013年4月より専修大学にて教鞭を執る。専門は国際金融、企業ガバナンス・コンプライアンス、金融規制・制度論、ファイナンス論、金融教育。国際通貨研究所客員研究員。

鍋田 吉郎(なべた・よしお)
ライター・漫画原作者。1987年東京大学法学部卒。日本債券信用銀行入行。退行後、フリーランス・ライターとして雑誌への寄稿、単行本の執筆・構成編集、漫画原作に携わる。取材・執筆分野は、政治、経済、ビジネス、法律、社会問題からアウトドア、芸能、スポーツ、文化まで広範囲にわたる。地方創生のアドバイザー、奨学金財団の選考委員も務める。主な著書・漫画原作は『稲盛和夫「仕事は楽しく」』(小学館)、『コンデ・コマ』(小学館ヤングサンデー全17巻)、『現在官僚系もふ』(小学館ビックコミックスピリッツ全8巻)、『学習まんが 日本の歴史』(集英社)など。

(ヒューモニー)