既存の免疫システムで新型コロナを退治できる

 まず新型コロナウイルスに対する免疫力について見てみよう。

 厚生労働省は6月16日、新型コロナウイルスに関する初の大規模な抗体検査の結果を発表したが、東京での抗体保有率は0.1%、大阪は0.17%、宮城は0.03%だった。注目すべきは欧米に比べて抗体保有率が非常に低かったことである。大規模流行が起きた海外では、スウェーデンのストックホルム市は7.3%、英ロンドン市は17.5%、米ニューヨーク市は19.9%だった。抗体保有率が低いことは、多くの人が免疫を獲得し感染が終息に向かうという「集団免疫」の段階に達するまでの時間が長いとされることから、日本での「第2波」は諸外国に比べて大きくなるのではないかと懸念されている。

 一方、日本などアジア地域での新型コロナウイルスによる死亡率が、欧米地域などと比べて2桁少ないことが明らかになっているが、その謎の解明に資する研究結果が出ている。

 米国カリフォルニア州のラホヤ免疫学研究所が新型コロナウイルス流行前(2015年から2018年)に採取した健康な人の血液を調べたところ、半数の人の血液から新型コロナウイルスを退治できる「T細胞」が検出されたという(6月19日付日経バイオテク)。

 またスイス・チューリッヒの大学病院では、新型コロナウイルスから回復した人のうち約2割(165人のうち34人)しか抗体(IgG)が作られていなかったということが判明し、残り8割は既存の免疫機構で新型コロナウイルスを退治したと考えられている。

 人間の免疫システムは様々な免疫細胞が連携して機能している。大括りにすれば、自然免疫(生まれながらに身体に備わった免疫機能)と獲得免疫(病原体に感染することによって後天的に得られる免疫機能)に分かれるが、新型コロナウイルスに対処できるのは獲得免疫の方である。獲得免疫も2種類に分かれ、「抗体という武器をつくる」B細胞と「ウイルスに感染した細胞を破壊する」T細胞がある