肥満だけが睡眠時無呼吸症候群の原因ではない

 肥満であることが、この病気の典型例であることは間違いありません。しかし、日本人の場合は、実は肥満ではないSASもかなりいると言われています。なぜなら、たとえば「顎が小さいなど骨格の特徴」や「扁桃腺の肥大」などによってもSASになりうるからです。日本人の場合38%は標準的な体形で、5%はむしろ痩せ型だったという報告もあります(2)。

「眠気やいびきなど、自分も思い当たる節はあるけど、肥満じゃないからSASではないな」とは言えないということです。

 さて、「SASだとしても、日中ウトウトするぐらいなら、そこまで大きな問題ではない」と思う人もいるかもしれません。しかし、決してそんなことはありません。実は世の中では、SASによる重大な問題が多発しているのです。

 眠気で問題になるのは、なんと言っても事故のリスクが上がることです。SAS患者では、健康な人と比べて交通事故のリスクが7倍高いことが示されています(3)。

 2003年に山陽新幹線がオーバーランした事例では、運転手が実はSASであり、運転中に居眠りをしたことが分かっています。また、 第10回でも解説した「関越自動車道高速バス居眠り運転事故」を起こした運転手もやはりSASを患っていました。

 これらは決して特殊な事例ではありません。なんと24%のSAS患者が、「週に1回以上は居眠り運転をしている」という衝撃の研究結果も報告されています(3)。私たちが何気なく渡っている横断歩道に近づく車の運転手が、SASでない保証はどこにもありません。

 また、SASは事故のリスクを上げるだけではなく、健康被害ももたらします。