極めて深刻な子どもの睡眠時無呼吸症候群

 実はSASを患っている子どもは、約1ー3%います。1学年に数人いてもおかしくない計算になりますが、子どもの場合は典型的な無呼吸がなくて、保護者が気付かないことも多いといわれています。

 原因として肥満もあり得ますが、扁桃腺の肥大や、アレ ルギー性鼻炎による鼻づまりだけでもSASを発症します。

 就寝中に慢性的な酸素不足になるため、「身体の発育の遅れ」や「学習能力の低下」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)様症状」「おねしょ」などが見られます。また、漏斗胸(胸の中心が陥凹する)や、顎の低成長など、肉体的な問題も生じます。顎が適切に発達しないと、成人後のSASの発症リスクが高まるので、ちょっとやそっとではSASから抜け出せなくなってしまいます。

 以上のように、子どもの場合には、心身の発育にダイレクトに影響するので、非常に深刻な問題です。上記の気になる症状、徴候がある場合には、SASを疑ってみる必要があるのです。

 SASの治療としては、経鼻持続陽圧呼吸(CPAP:シーパップ)が第一選択になります。これは簡単に言うと、就寝中に鼻にマスクをつけて、そこから十分な量の酸素を供給し、呼吸をアシストする治療です。鼻のマスクはバンドを使って頭に固定します。
 

 非常に効果的な治療方法なのですが、ちょっと想像してみれば分かる通り、「鬱陶しい」と感じる人がとても多いのが最大の欠点です。慣れれば気にならなくなりますが、そこまで到達して使用し続けられるのは、治療をトライした人たちの約4割ぐらいと言われています。装着感を改善して、いかに脱落者を減らすかが今後の課題となるでしょう。ただし、きちんと続けられれば効果は絶大です。

 適切な治療により、眠気が改善し、事故の発生率が低下することや、高血圧や脳卒中のリスクも下げられることが分かっています(7)。