安倍晋三首相は8月28日の辞任会見で、新型コロナウイルスの追加対策としてワクチンの確保とPCR検査や抗原検査の拡充を決めたことをあきらかにした。ワクチンは、来年(2021年)前半までに全国民に提供できる量の確保を目指すという。また症状が似るインフルエンザとコロナの検査が同時にできるよう、冬までに1日20万件の検査能力を確保すると述べた。

 政府は、すでに米ファイザー(6000万人分)と英アストラゼネカ(1億2000万回分、2回摂取の場合6000万人分)から供給を受けることで合意している。

 中国でも、9月4日にシノバック・バイオテック社のワクチンが公開され、王毅外相が国際会議の場でワクチンを「世界の公共財にする」と呼びかけた。ロシアでも、「スプートニクV」というコロナワクチンが開発され、臨床試験が行われているそうだ。

 問題は、これが本当に朗報なのかということだ。2003年に発見された重症急性呼吸器症候群(SARS)、2012年に発見された中東呼吸器症候群(MERS)は、いずれもコロナウイルスによる感染症だった。だがいずれもワクチンは開発されていない。費用対効果の問題もあったそうだ。通常、新たなワクチンを開発する場合には、安全性と有効性を試験するのに優に6年はかかると言われている。それが1年弱、あるいは1年程度で開発というのは、あまりにも早すぎるのである。これで本当に安全性を担保できるのか、疑念を抱かざるを得ない。