連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第23回。ユニバーサルマスク、治療薬、ワクチン・・・。新型コロナウィルス感染症の臨床最前線で分かってきた知見と今後の見通しについて讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)による感染症専門医・忽那賢志医師へのインタビュー(後編)をお届けする。

讃井 今回も臨床の最前線で新型コロナウイルス感染症を診てきた忽那賢志先生にお話を伺います。

讃井 感染力がある程度強くて、かつある程度重症化しやすい――新型コロナウイルス感染症が非常にやっかいな感染症だという話を前回していただきました。しかし、最初はわからなかったことが、少しずつわかってきてもいます。そこで、さまざまなトピックについて、これまでにわかってきた知見を整理したいと思います。

 まず無症状の感染者(無症候性感染者)と偽陰性について。無症状の感染者には、①無症状ゆえそもそもPCR検査を受けていない、②PCR検査で陽性、③PCR検査で陰性となったいわゆる偽陰性、の3つのケースが考えられます。このうち、とくに問題となるのは①と③です。

忽那 たとえば、今の日本の院内感染の現状を見てみますと、PCR検査で陽性となった患者さんから医療従事者に感染している事例というのは極めて少ないんです。院内感染の多くは、新型コロナ感染症だとわかっていないけれどじつは感染していた、あるいはPCR検査をやって陰性と出たので隔離解除したらその患者さんから広がってしまったというケースです。

忽那賢志(くつな・さとし)氏
感染症専門医。2004年に山口大学医学部を卒業し、2012年より国立国際医療研究センター国際感染症センターに勤務。感染症全般を専門とするが、特に新興再興感染症、輸入感染症の診療に従事し、水際対策の最前線で診療にあたっている。

讃井 無症状でも感染力がある、無症状で検査陰性でも感染していて感染力を持っていることがある。これは本当にやっかいです。