(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 東日本大震災から10年が過ぎた。

 今夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックを、国や東京都は「復興オリンピック・パラリンピック」と位置づけている。

 菅義偉首相も今年1月の施政方針演説で、こう表明している。

「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと思います」

 復興庁のホームページには「復興五輪ポータルサイト」が設けられている。そこに「復興五輪について」として、「復興五輪」を次の3項目で説明している。

○東日本大震災に際して、世界中から頂いた支援への感謝や、復興しつつある被災地の姿を世界に伝え、国内外の方々に被災地や復興についての理解・共感を深めていただくこと

○大会に関連する様々な機会に活用される食材や、競技開催等をきっかけとして来ていただいた被災地の観光地等を通じて、被災地の魅力を国内外の方々に知っていただき、更に被災地で活躍する方々とのつながっていただくことで、大会後も含め「買ってみたい」「行ってみたい」をはじめとする被災地への関心やつながりを深めていただくこと

○競技開催や聖火リレー等、被災地の方々に身近に感じていただける取組を通じて、被災地の方々を勇気付けること

 ところが、震災から10年を前後して、「復興五輪」とは相反する様々な動きが出てきた。

コロナに手こずる日本を横目に、IOCが選手に中国製ワクチン提供の意向

 今月25日に福島県の「Jヴィレッジ」からはじまる東京オリンピックの聖火リレーについて、大会組織委員会は、新型コロナウイルスの感染防止のため、最初の出発式典に一般の観客を入れない無観客で実施する方針を固めた。Jヴィレッジは10年前の東京電力福島第一原子力発電所の事故の直後に、事故対応の拠点となった場所だ。「復興オリンピック」の象徴として出発地に決まったはずだった。もうスタートの時点から躓いている。

 それどころか、政府と大会組織委員会、東京都は海外一般客の受け入れを見送る方針を固めたとされる。聖火リレーのはじまる25日より以前にも、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)を交えた5者会談を行って正式表明する見通しだ。