米アップルは11月23日、スマートフォン「iPhone」などのハッキングを可能にするスパイウエア 「Pegasus(ペガサス)」を政府機関などに販売しているイスラエルのNSOグループを提訴したと明らかにした。

「高度に対象を絞ったサイバー攻撃」

 「NSOグループとその顧客は、国家の莫大な資金と能力を投入して高度に対象を絞ったサイバー攻撃を行い、アップル端末やアンドロイド端末の機密データへのアクセスを可能にした」としており、裁判所にアップルのソフトウエアやサービス、端末の使用を恒久的に禁じる命令を出すよう求めている。米CNBCによるとアップルは約7万5000ドル(約860万円)の損害賠償も請求している。

 米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁に提出した訴状でアップルは、「ペガサスによって、iPhone利用者の電子メールやテキストメッセージ、ウェブブラウザー閲覧履歴などの情報を収集できてしまう。端末のカメラやマイクへのアクセスも可能にしている」と指摘。強権的な政府は数億ドルもの費用をかけ、一部の利用者の情報を収集していると批判した。

 「NSOグループやその顧客はプログラムの脆弱性を突いてマルウエア(悪意のあるプログラム)を送信し、利用者が気付かぬうちにスパイウエアをインストールした」(アップル)

殺害されたサウジアラビア人記者周辺も標的

 米ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBCによると、NSOグループは中東やメキシコ、インドなどの政府機関などにスパイウエアを販売したことで非難されているという。

 NSOグループのスパイウエアは、ジャーナリストや政治家、人権活動家、反体制派などを標的に悪用されてきたと指摘されている。米フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)は2019年に、傘下の対話アプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」の利用者1400人がNSOグループからマルウエアを送り付けられたとして、カリフォルニア州の連邦地裁に提訴した。