「事故の悲惨さ知ってほしい」未来のドライバーに託した思い

 実は、昨年末、こんな記事が新聞によって相次いで報じられました。

●『輪禍防止願い小学校に本寄贈 遺族名乗る匿名の人から 西胆振』(北海道新聞/2021.12.25:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/627241)

●【交通事故 悲惨さ知って 遺族 小学1000校に本 匿名で寄贈=北海道】(読売新聞/2021.12.30)

「北の交通事故遺族」を名乗る遺族が、『柴犬マイちゃんへの手紙 無謀運転でふたりの男の子を失った家族と愛犬の物語』(講談社)という児童書を、北海道内の全小学校に寄贈したというのです。

『読売新聞』の記事から、一部抜粋します。

〈(「北の交通事故遺族」を名乗る人物が)交通事故で家族を亡くして悲しみに暮れていた時にこの本を読み、「子供の頃から交通事故についてしっかり考えていれば、事故を起こさない大人に育つのではないか」と思うようになったという。10月に約1000冊を自費で購入。「免許を取得できる年齢になった時、交通事故の悲惨さを少しでも思い出してほしい」と、道教育委員会のホームページなどで小学校を調べ、12月上旬に郵送した〉

 実はこの本、筆者が2013年に講談社から出版した一冊でした。

 2010年12月26日、東京の田園調布で、いとこ同士の9歳と6歳の男児が亡くなった事故のことを記したノンフィクションです。

 クリスマスに祖父母の家に遊びに来ていた2人の男の子は、この夜、マイちゃんという柴犬のお散歩を、大好きなおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に楽しんでいました。

 しかし、その幸せな時間は一瞬で奪われてしまいました。

 4人が横断歩道の前で信号待ちをしているとき、ラップ音楽に合わせてジグザグ運転をしていた車が、突然、歩道に突っ込んできたのです。

 この事故で、2人の孫と歩道に立っていた祖父母も、全身を骨折するなどの重傷を負いました。

 車を運転していた男は、事故の1カ月前に20歳になったばかりの新成人でした。「ふざけた運転をして、同乗の友達を喜ばせたかった」そう供述していたといいます。