オミクロンが猛威をふるう中、医療現場が直面しているのは、じつは新型コロナ診療よりも新型コロナ以外の救急診療、通常診療の危機である。自治医科大学附属さいたま医療センターでパンデミック当初から重症患者の診療を続けている讃井將満医師が現状を報告する。連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第77回。

 わずか1か月足らずで、状況は一変しました。埼玉県でも新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数が連日過去最高を記録しています。

 では、医療現場の現状はどうなっているのでしょうか? 今回は、第6波における医療現場の状況(とくに記述がない場合は、埼玉県の1月20日時点での状況)と問題点をお伝えしようと思います。

なぜ重症化を抑えられているのか

 もっとも特徴的なのは、爆発的に新規感染者が増えている中で、重症患者が少ないことです。埼玉県全体で重症患者は7人。ECMO(体外式膜型人工肺 第3回参照)を使用しているのは1人で、第5波で当院(自治医科大学附属さいたま医療センター)に入院して治療を続けている患者です。したがって、第6波の重症患者は6人ということになります。

 6人の内、人工呼吸器を使用している患者が3人。残り3人は集中治療室で高流量鼻カニュラ(ネーザルハイフロー 第66回参照)で酸素療法を行っている患者で、重症の中では比較的軽い症状といえます。いずれにせよ、重症患者数は第5波の最大数の2〜3%程度に抑えられているのです。

 このように重症化を抑えられているのには、いくつか理由が考えられます。第一に、ワクチンの普及が進んだこと。ワクチンを2回接種していても感染するケースが多発していますが、重症化はかなり防げているというのが医療現場の実感です。第二に、早期の薬物治療。オミクロンに対しては中和抗体薬ソトロビマブや、抗ウイルス薬であるモルヌピラビルが効果を上げています。