「ウェルビーイング」(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)というキーワードが生み出す大きな潮流は、日本人のライフスタイルをどのように変えるのか? また、どんな新しい産業や市場を生み出すのか? 消費者目線で社会トレンドをウォッチし続けてきた統合型マーケティング企業「インテグレート」のCEO・藤田康人氏が考察する本連載。今回は、一般社団法人ウェルネス総合研究所が発行する「ウェルネストレンド白書」から、ウェルビーイングと健康の関係を探っていく。(JBpress)

単純に「お金があれば幸せ!」とはいかない

 身体も心も、そして社会的な立場も。「ウェルビーイング」とは、この世界で自分らしくあり続けるための基礎のようなものだと考えられます。今回は、ウェルビーイングを考える上で欠かせない「健康」というキーワードを、幸福との関係性で読み解いていきましょう。

「健康」と「幸福」という2つの言葉を並べたとき、多くの方が両者の関連を想像することができるのではないでしょうか。実際にこれらの関連性について、世界で実施されたさまざまなリサーチをもとに考えてみます。

 少し前ですが、2010年に米ギャラップ(Gallup)社が1000人の米国人を対象にして行った「人生の評価(Life evaluation)」と「主観的な幸福感(Emotional well-being)」(※1)では、年収7万5000ドルまでは、収入と幸福度に相関関係が認められますが、それ以上の年収ではむしろ幸福度は下がることがわかります。

(※1)「Gallup-Healthways 健康指数」2010(米ギャラップ社)より、出所『「幸せをお金で買う」5つの授業』(エリザベス・ダン、マイケル・ノートン著、KADOKAWA/中経出版)

 また、カナダのブリティッシュコロンビア大学のエリザベス・ダン准教授とアメリカのハーバードビジネススクールのマイケル・ノートン教授の共同研究では、たとえ年収が2倍になっても、私たちの幸福度はたった9%しか上昇しないということがわかりました。これはわが国も同様で、内閣府による2019〜2020年の「満足度・生活の質に関する調査」(※2)では、幸福度は年収3000万〜5000万円で頭打ちとなり、それ以上の年収では、やはり幸福度は低下していきます