それに対して情報処理技術者は国家資格だが、それをもたない人がプログラミングしても違法にはならない。薬剤師も資格認定にすればいいのだ。免許なしで処方薬を売れるようにすれば、薬局はこれ以上増えない。ドラッグストアなどとの競争が起こるからだ。

 こう書くと「薬剤師には疑義照会などのチェック業務がある」と反論してくる薬剤師がいるが、そんな業務は3%程度で、ほとんどは処方箋の通り薬を袋に入れるだけだ。チェックしてほしい人は薬剤師のいる薬局で買い、そうでない人はドラッグストアで買えばいいのだ。

「医薬分業」が薬剤費上昇の元凶

 医薬分業には、それなりに意味があった。かつては診療報酬の低い分を薬価差益で補う医療が「薬漬け」として批判され、開業医の収入の半分近くを薬剤費が占める状態だったが、1974年に日本医師会の武見太郎会長が診療報酬の引き上げを要求し、処方箋料が大幅に引き上げられた。

 厚労省は過剰投薬を避けるために医薬分業を進め、病院に勤務するサラリーマンだった薬剤師が独立できるように調剤技術料も上げた。その結果、門前薬局が急速に増え、調剤医療費は2000年以降、ほぼ倍増した。

 約1万5000種類の医薬品のうち、市販薬は約7000種類だが、処方薬の売り上げは市販薬の7倍である。薬価が独占価格として設定でき、保険適用で安く買えるからだ。厚労省は薬剤師の既得権を守るために処方薬のネット販売を禁止しているが、海外では処方薬もネット販売で買える。

 こういう混乱が生まれたのは、医薬分業を進めるために処方箋料や調剤技術料など、インセンティブをつけすぎたためだ。医薬分業は義務ではないので、病院が院内処方すれば昔に戻せる。病院や診療所で薬を出すことは今も禁止されていない。

 海外では、処方薬も病院内の自動販売機で売っている。病院の診察カードに処方箋データを書き込み、それを自販機に読ませるだけだ。すべての処方薬を自販機で売ることはできないが、他の処方薬は窓口で出せば、薬剤師はいらない。

 それでは昔の薬漬けに戻ると心配する人がいるだろうが、処方箋を電子化して、マイナンバーで管理すれば、過剰診療や過剰投薬はチェックできる。医薬分業では、医療費の大部分を占める診療報酬のチェックができないので、「検査漬け」などの乱診乱療は是正できない。

 医師のモラルハザードを防ぐ上で効果的なのは、マイナンバーで電子処方箋のデータをネットワークで共有し、他の医師や保険組合がチェックできるようにすることだ。

「薬剤師がいないと薬害が出る」という人がいるが、薬害の責任は製薬会社にあり、薬剤師が防ぐことはできない。「薬剤師が濫用の歯止めになっている」というが、睡眠薬を大量に買おうと思えば、複数の医者に行って複数の薬局で買えばいい。

 現実には、薬局でレセコン(レセプト・コンピュータ)と呼ばれる端末に入力しており、投薬ミスなどもこれでチェックできる。処方箋を電子化してネットワークで連携することは簡単だが、医師会が「事務負担」を理由に反対している。この電子化を義務づければいい。