(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

 岸田内閣の支持率が急落している。9月13日に発表されたNHKの世論調査では、支持と不支持がともに40%で、支持率は内閣発足後、最低になった。その最大の理由は統一教会(世界平和統一家庭連合)をめぐる対応の迷走である。

 当初は「党としての組織的な関係はない」と突っぱねていたが、多くの議員と統一教会の「接点」が明らかになると腰砕けになり、首相は党所属の国会議員が「統一教会との関係を断つ」という方針を表明した。これがかえって騒ぎを拡大し、収拾の見通しが立たない。

何のために統一教会との「接点」を点検するのか

 首相は自民党議員のうち179人に統一教会との「接点」があったと認めた。接点とは曖昧な言葉だが、法的には何の問題もない。接点があるというなら、公明党と創価学会の接点は明らかだが、今までそれが問題になったことはない。

 野党にも統一教会との接点がある。立憲民主党は岡田幹事長をはじめ、15人に接点があったと認めた。なぜ自民党と統一教会の接点だけが問題になるのだろうか。

 統一教会が「反社会的集団だから接点をもつことが悪い」という話には根拠がない。統一教会が政府や裁判所に「反社」と認定されたことはない。これは組織暴力団の別名であり、宗教団体に使われた前例はないのだ。

 統一教会が「違法な団体」と認定された事実もない。2001年の「青春を返せ」訴訟では、詐欺的な布教の方法が違法だと裁判所が認定したが、これは北海道のローカルな話で、統一教会の組織としての違法行為ではない。

 唯一の刑事事件は2009年の「新世」事件で、当時の会長が辞任したが、ここで認定された組織的犯行の責任は有限会社新世にあり、統一教会の責任は認定されていない。