(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)

「歴史の評価は公正中立」と言われることがありますが、筆者は決してそんなことはないと考えています。というのも、歴史的評価というのはその時々の思想や政権の影響を受けやすく、かつては英雄視された人物が後の時代には大悪人のように批判されることも少なくないからです。

 日本の歴史においても、いわゆる皇国史観(日本の歴史が万世一系の天皇を中心に展開されたとする歴史観)の影響で、南北朝時代の武将を中心に戦前と戦後で評価が全く異なる人物が数多く存在します。足利尊氏ら北朝方武将の評価が好転したのに対し、新田義貞などの南朝方武将があおりを食う形で暗転したのは、まさにそのケースです。評価が揺るがなかったのは楠木正成などごく一部の武将だけでしょう。

 近年においても実証的な研究や議論が進んだことに伴い、かつての嫌われ者が人気者になるなど、歴史的評価が大きく変わった人物が少なからずみられます。

 そこで今回は、ここ20年くらいで評価が大きく変わったと筆者が感じる2人の人物を紹介したいと思います。

江戸時代以降、完全な悪役に

 近年において再評価が最も進んだと筆者が感じる人物は、石田三成(1560〜1600年)です。