実際に中国軍は、中国本土やその上空、中国沿海域といった、米軍側からの攻撃を被る恐れが極小の安全地帯から、弾道ミサイルや長距離巡航ミサイルといった伝統的長射程ミサイルだけでなく、極超音速兵器や対艦弾道ミサイルなどの最先端精密攻撃兵器によって沖縄の米軍基地や周辺海域の軍艦を片っ端から破壊することができる状況だ。

 かつては、南西諸島のど真ん中の中国地陸沿岸域に対して扇の要に位置する沖縄に、アメリカの緊急展開部隊である海兵隊前方展開部隊が配備されているということは、中国軍が軍事行動を起こす気配を示したならば、強力な海兵隊先鋒部隊が殺到してくることを意味していた。しかしながら現在は、海兵隊上陸部隊を積載した艦隊が目的地沖合に到達することすら現実的ではなくなってしまっている。

 このことは海兵隊自身も認めており、中国軍相手には、南西諸島に地対艦ミサイルや地対空ミサイルを装備した海兵隊部隊を緊急展開させて、中国軍の接近を待ち受ける、という戦法に転換し、そのための組織改編、装備調達、教育訓練を開始している。

 このように、沖縄に陣取っている米軍は中国軍に対して劣勢に追い込まれつつあるため、中国による台湾攻撃を確信している対中強硬派は、日本政府や国防当局が日米同盟を日本防衛の切り札と考えているのが真意であるならば、沖縄の軍事的重要性を日本国民に説明し、日本自身の防衛努力も加速すべきであると考えている。

一変した普天間基地移設問題を取り巻く状況

 たとえば、いまだに遅々としてはかどらない海兵隊の普天間基地を辺野古の新基地に移転する問題についても、沖縄周辺の米軍戦力を弱体化させず、これ以上中国の軍事的優位性を増大させないことを念頭に置くならば、辺野古新基地建設は断念して普天間基地を使い続けることが肝要である、といった意見は軍事的には常識と言えよう。