なぜならば、普天間基地は海兵隊、そして米軍のあらゆる軍用機が運用可能な航空施設であるが、辺野古新基地は基本的にはヘリコプター基地であり、沖縄の本格的航空拠点が1つ消滅し嘉手納基地だけになることを意味するからだ。

 もちろん、普天間移設問題は長年にわたる日米両政府間の政治問題である以上、白紙に差し戻すことは極めて困難である。だが、普天間基地移設が浮上した当時と現在では日本周辺の軍事情勢は「完全に別物」の状況になっている。したがって普天間・辺野古の問題を再考しないのは、軍事的には大きな矛盾と言わざるを得ない。

自助防衛努力を怠る日本

 同様に、日本政府が口にしている「中国の軍事的脅威」とは、直接的には尖閣諸島を巡る日中間の対立を指しているものの、日本政府はその脅威に対抗しようとはしていない。

 本コラムでも繰り返し取り上げたように、魚釣島に簡易測候所を設置したり(本コラム2020年12月10日)、尖閣諸島海域に海上保安庁の超大型巡視基地船を展開させる(本コラム2022年1月6日)といった対中牽制努力を日本政府は全く行っていない。米側も日米同盟の価値は認めているが、自助防衛努力をしない国を支援する余裕はない。

 これでは、日本政府や政治指導者が繰り返し口にしている「日米同盟の重要性」や「中国の軍事的脅威」は単なる政治的パフォーマンスにすぎず、本心では「アメリカとは揉め事を起こさずアメリカに付き従う姿勢を示していればよい」「中国の軍事的矛先が日本に向きそうになった場合には、中国との人脈を使い上手く立ち回れば、よもや最悪の事態には立ち至らないだろう」と考えていると見なさざるを得なくなる。

(北村 淳)