文=酒井政人 写真=松尾/アフロスポーツ/日本スポーツプレス協会

2年ぶりに総合優勝に輝いた青学大

 2022年の箱根駅伝はフレッシュグリーンのユニフォームが〝パワフル〟だった。2年ぶり6度目の総合優勝に輝いた青学大だ。

 原晋監督が「青学史上最強」と豪語していたチームは、3区太田蒼生(1年)で首位を奪うと、その後はトップを独走する。復路は3区間(7、9、10区)で区間賞。9区中村唯翔(3年)と10区中倉啓敦(3年)は区間新だった。

 絶好のコンディションに恵まれたこともあり、総合成績は10時間43分42秒。大会記録(10時間45分23秒/20年・青学大)を更新して、2位の順大に10分51秒という大差をつけた。

 青学大はなぜこれほどまでに強いのか。筆者は5つの大きな要因があると感じている。

スカウティングに有利な大学のブランド力

 まずは①スカウティングの成功だ。専門誌の『月刊陸上競技』は例年、関東有力大学の長距離新入生リストを作り、上位5人の5000m平均タイムを算出している。青学大は1年生世代と3年生世代でトップにつけるなど、毎年のように有望選手を獲得しているのだ。

 箱根駅伝の順位は2015〜2020年の6年間はすべて2位以内。4連覇を含む5回の総合優勝に輝いている。ただ強いだけでなく、少しチャラい雰囲気も高校生にウケているのではないだろうか。原監督はもちろん選手のメディア出演も多く、大学のブランド力もある。原監が魅力的なチーム作りをしてきたことで、アオガクで箱根を目指したいという高校生ランナーがたくさんいる。

圧倒的な層の厚さとピーキング

 スカウティングの成功に加えて、青学大は「育成力」もある。その結果、②どこよりも厚い選手層が完成した。箱根駅伝の登録選手上位10人の10000m平均タイムは過去最速の28分24秒65に到達した駒大に対して、青学大は2位の28分29秒40。しかし、10000m29分未満は駒大の9人に対して、青学大は23人と凌駕している。なお他大学の10000m29分未満は14人(順大、東海大、明大)が最多だった。いかに青学大の選手層が分厚いのか理解できるだろう。

 それから③箱根駅伝へのピーキングが非常に優れている。今大会は全員が区間8位以内で走破した。なお2位の順大は4区間、3位の駒大は3区間で区間二桁順位を出している。青学大の選手が本番で活躍できるのは、5000mのタイム、夏合宿の消化率、本番を見据えた実践的なメニュー、直前の調整など原監督が「青山メソッド」と呼ぶ箱根駅伝に向けたトレーニング&コンディショニングが確立されているのが大きい。また選手層が厚いため、ハイレベルの選手のなかから調子の良い選手をピックアップできるというメリットもある。